ぱらのみっく・ういんどう

ひとり旅のブログ。乗り鉄中心、バスに船、街歩き。ひとつのテーマをじっくりと…。

信濃路の”特別快速”に乗る【しなの鉄道 軽井沢リゾート号・2022年秋】

横川から県境をJRバスで越え、雨の軽井沢についた。といっても特に観光の予定はなく、これから長野まで向かう。ちょっとひねくれた帰省である。

 

 

軽井沢駅

バス停から少し歩いて軽井沢駅へ。3階の改札まで階段をあがるのが億劫で、地平にある旧駅舎口にゆく。窓口が閉まっていたので、券売機で切符を買ってホーム内へ。

あれ?

青色の電車が発車するのが見え、焦る。あれって乗る電車じゃない?でもまだ早いし… 駅舎の時刻表を見るついでに改札で聞いてみる。どうも、入れ替えを行っていただけだけで、このあとまた戻ってくるらしい。

しばらく後、その電車はゆっくりと入線してきた。

シックなデザインの青い電車、しなの鉄道 SR1系

しなの鉄道の「特別快速」

というわけで、今回は しなの鉄道の有料快速列車「特別快速 軽井沢リゾート3号」に乗る。

しなの鉄道は1997年の長野新幹線開業に伴って発足して以来、ずっと国鉄型電車を使い倒していたのだけれど、ついに新車が入ることになった。JR東日本E129系ベースのSR1系だ。

このときにデュアルシートタイプの特別車両を導入し、有料快速列車も運行開始。平日は「しなのサンライズ」「しなのサンセット」として、休日は「軽井沢リゾート」として、この青いSR1系が活躍することとなった。

SR1系特別車両は、深い青ベースにゴールドライン、そして水色・緑色のラインが入る。この水色と緑色、個人的には長野地区のJRおなじみ「信州色」モチーフだと思ってます。

青もあれば赤もいる。SR1系一般タイプのクロスシート車は赤・銀ベース(左)。開業当初からのしなの鉄道115系カラーとの連続性を感じるデザイン。
トイレがついたのが個人的にうれしい。

車内の様子

車内へ。いわゆるデュアルシート車、座席をロングシート・進行方向向きシートと切り替えられるタイプの車両。東上ライナーとか京王ライナーとか、首都圏の私鉄では最近よく見かけるが、地方第3セクター鉄道では初なんじゃないだろうか。

車内の様子。有料快速運用なので座席が進行方向を向く。

今回は連休初日なのもあり、念のため事前にWeb予約しておいた。予約時は席も選び放題だったが、出発時にはシートの窓側が半分埋まるくらいだろうか。2人組もそれなりに多い。見える頭を数えてみれば、私の乗る1号車には16人ほど。2号車も予約時はガラガラだったが、10人弱の乗車があるように見える。

 

それでもまだまだ空きはあり、当日飛び乗りできるくらいの込み具合。でも旅程に組んだのなら予約がお奨め。デュアルシート車の宿命か、窓と席とが絶妙にあっていないのだ。

景色を眺めるつもりであれば、1号車なら2・4・7・9列目、2号車だと8・10列目を。これ以外の席だと窓枠が横にあったり、後ろ向きだったり(1・3号)、やけに狭かったりする。

観光快速ではあるのだが、窓と席の位置がなかなか噛合っていない。

2号車1列目、車端席。絶妙な狭さで目の前はドアスペースの仕切りだ。それでもロングシートにしないあたりが有料快速の矜持というもの。

軽井沢リゾート1号・2号で、軽食付きプランに供されるテーブル付き席。ただし3号は軽食プランがない上、後ろ向きに座ることになる。

 

軽井沢→上田

じっくり車内を観察していると、もう出発時間。

向かい側のホームに入ってきた電車と入れ替わるように発車、定刻16時8分。

軽井沢駅発車。湘南色とロクサンに見送られて。

列車は小雨降る、どんよりと湿気の高い軽井沢を走る。これまでも、軽井沢は来たとき晴れていた試しがないな。

すぐにお隣の中軽井沢に停車。16時12分着、ここで1グループが降りたのには流石にびっくりした。指定席料金を払ってそんな短距離乗車を? 20分もしないうちに、次の普通列車もあるので謎だ。知らずうっかり乗ってしまったのか、いやしかし軽井沢だからな…セレブかもな…流石にそれはないか…

中軽井沢駅。今日はずっとどんより空模様。

 

特急ばりにカッ飛ばす転換三セク

さて、この次の停車駅はなんと上田である。この軽井沢リゾート3号はとにかく駅を飛ばすので、30分ほど無停車となる。

停車駅は軽井沢・中軽井沢・上田・戸倉・長野。

JR信越本線時代の特急「あさま」号の大半の便より停車駅が少ない。「あさま」が半数程度止まっていた篠ノ井はもちろん、全列車が停車していた小諸駅まで通過してしまう。これはなかなかだ。

特急「あさま」 横川の鉄道文化むら保存車両

もっとも、軽井沢→長野間の所要時間は65分。近い停車パターンの「あさま」はここを50分台前半で走破していたから、案外スピードダウンしている。

おそらく最高速度の関係だろう。「あさま」時代は最高120km/h、しなの鉄道移管後は最高速度が100km/hに引き下げられている。実際のところ、軽井沢リゾート号のなかでGPS速度計を見ていたが、出しても90km/hくらいだった。

さらに来年春には経費削減のため、しなの鉄道線は85km/hにスピードダウンが行われる予定で、90km/hでの走りも今のうちなのだ。(そして残念ながら「軽井沢リゾート3号」は来春改正で運転取りやめらしい)

 

列車は止まらずに飛ばし続けている。晴れていれば、このあたりで浅間山もよく見えるのだろうが、すっきりしない。日没も近く、明るい車内も相まって外が余計薄暗く見える。

平原駅。「ひらはら」の大書きされた車掌車駅舎がトレードマーク。

小諸あたり。どうもすっきりしないが、まあこんな日もある。

左手に小海線の線路が寄ってくると小諸を通過。ミュージックホーンを鳴らしながら、スピードは落とすものの、それなりの速さで走り去ってゆく。

 

気づけば上田だ。16時43分。景色を眺めていると案外早い。

上田、久しぶりにドアがあいた。

 

上田駅

上田では、見える範囲で3グループが下車し、5人位が乗ってきた。

降りた人は皆大きな紙袋を持っていて、きっと軽井沢でのショッピング帰りだろう。

軽井沢~上田間であれば新幹線も使えるが、近い時間で比較すると、新幹線自由席が2640円18分に対し、軽井沢リゾートだと1390円34分。ならまあ、結構選択肢としてアリではないか。リクライニングシートではないけれど確実に座れるし。

 

一方乗ってきた人は、おそらく私と同じく鉄道マニア(大きなカメラ持ってるし)と、あとは有料快速と知らないで乗ってしまったようだ。あとで車掌さんが来て料金を徴収していた。

となると、純粋な気持ちで(?)上田〜長野を軽井沢リゾート号で、という人は今回居なかったのか。上田~長野間は新幹線自由席1470円12分に対してリゾート号1280円30分、たしかにこれなら新幹線に乗りたい。

悪ノリで新幹線とのコスパ比較を始めたので、その北陸新幹線の写真をおいておきます。E7かっこいいよね。

ついでに蛇足、軽井沢~長野感は新幹線自由席が3210円31分、リゾート号は2710円65分。これだと軽井沢リゾート号は幾分分が悪い。しかし、往復だと新幹線自由席6420円に対し軽井沢リゾート号は3390円(フリーきっぷ2390円を利用)となる。これなら戦える!

もっとも、23年春改正ダイヤで減便と時間変更があり、長野から軽井沢までリゾート号で日帰り往復はできなくなってしまいますが。

 

上田→長野

上田を出ると一段と暗くなってきた気がするが、調べてみると日没まではまだまだある。西上田、坂城とどんどん駅を飛ばす。

坂城駅の169系。中はリクライニングシートに改造済みで、快適でした。

坂城には引退した169系電車が保存されている。このSR1系特別車両は平日の「しなのサンライズ」「しなのサンセット」にも使われるが、これはもともとこの169系が担当していた。SR1系にとっては大先輩だ。

ちなみに、しなの鉄道の通勤ライナーは、169系(ライナー)→189系(ライナー)→115系(無料快速)→SR1系(ライナー)と変遷している。

189系時代「しなのサンライズ/サンセット」の写真は持っていなかったので、共通運用だった信越本線妙高」を。篠ノ井線おはようライナー」も含め、この頃は189系が元気に走っていました。今思うとすごい時代。

そういえば、母校には田中駅から長野まで通っていた友人がいた。始発を逃すとライナーじゃなきゃ1限まにあわないんだよ、と、くしゃくしゃに財布に詰め込まれたたくさんのライナー券を見せてくれたことがある。今思えば、一枚記念にもらっておけばよかったかな。さすがに変なヤツだと思われそうで、どうも言い出せなかった。

 

坂城の先ではトンネルに入り、またミュージックホーンを鳴らす。

16時56分到着の戸倉で、1人が降りた。ここが最後の停車駅で、このあと車掌さんが巡回を始める。そういえば最初はワンマン列車だったはずで、戸倉からは車掌乗務なのか。JRに乗り入れる関係か、長野~戸倉のみ車掌乗務、という列車が昔から結構多い。

戸倉駅には車両基地もある。まだまだ国鉄115系もよく見かける。

車掌さんによる検札が始まった。私はネット予約をしていたので、特に声をかけられることもなく。予約状況は手元で見られるのだろう。上田から乗った人は指定券を持っていなかったようで、ここで料金を徴収されている。会話を聞いた感じ、車内だと券面上は戸倉→長野での発券になるらしい。どうせ料金は500円で変わらないしね。

かつて長野電鉄が来ていた屋代も通過し、千曲川を渡り、気づけば篠ノ井

篠ノ井駅篠ノ井線信越本線/しなの鉄道の合流する拠点駅だが、通過。

特急しなの(長野〜名古屋)が全列車止まる篠ノ井駅だが、ここも容赦なく通過し、しなの鉄道からJR信越本線へ。このあたりの風景はもう見慣れたもの。

犀川橋梁。奥は北陸新幹線。帰ってきたなあ。

新幹線高架と並走しながら今井駅川中島駅を通過して犀川をわたり、その先はゴルフの打ちっぱなし、ここの脇道のカーブ、昔写真撮りに行ったな…とか思うと、もう安茂里、マルコメ味噌が左手に見えてきたらすぐに長野駅だ。

長野駅の留置線に台湾カラー115系がいた。意外なコラボに登場時はびっくりした。

 

長野駅到着後のシート転換

17時13分、3番線着、お出口は右側。

このあとは折り返して戸倉行きの普通列車になる。戸倉は車庫があるから、そのまま車庫に入るのだろう。

到着後、普通戸倉ゆきに。

すべての客が降りたあと、一旦ドアをしめて、シートの転換作業が始まる。

1号車は完全に自動で、1列毎うにょ~んと動き、あっというまにクロスシートからロングシートに変わってしまった。

おお、まわっている

1号車。ロングシートモードに。

一方2号車は人手で転換している。テーブル付きシートがあるからだろうか?こちらはシートを180°回転させて進行方向向きにし、クロスシートのまま運用に入るようだ。

車端部シートはやっぱり足元が狭い。ここは正直、ロングシートのほうが座りやすそう。

テーブルもそのままなのね。

ロングシート車・クロスシート車を1両つづで、実質セミクロスみたいな感じ。

ドアが開くと乗客が乗り込んでいった。2号車はテーブル付きでコンセントも使えるから、乗りトクかもしれない。大荷物の人がテーブルの上にリュックや紙袋をおき有効活用している。テーブルのある分座席数が減ってしまうが、この戸倉行はそこまで混まないのか、問題なさそうだ。

17時40分発の戸倉行になる。

このあと6番ホームには妙高高原発の軽井沢リゾート4号が入線し、青いSR1が顔を合わせる。こちら4号は長野~軽井沢間を戸倉・上田だけ停車、61分で駆ける。

うーん、かっこいい

 

むすび

登場から2往復体制だった「軽井沢リゾート」も、長野~軽井沢間の2・3号は23年3月ダイヤ改正で運転取りやめ予定、で1往復となり、4号が日中帯の運転に時間がずらされる。しなの鉄道の次回ダイヤ改正では、減便・スピードダウンとコスト削減が中心になるようで(そのかわりパターンダイヤを導入するらしい)景気が悪いというか、人口減少の現実というか…。

 

そんな時世だからこそ、フラッグシップ列車の「軽井沢リゾート」には頑張ってほしいなと思う。この手の列車は色々と手の入れようもありそうだし、今後も気にかけていきたい。長野~妙高高原間も、そのうち乗らねばリスト入りだ。

しかし、地元で「Special Rapid」なんて表記を見る日が来るとはなあ…。