2018年が明けてすぐ、2か月ほどマレーシアのペナン島で暮らしていたことがある。初海外で英語もロクに喋れないのに、なぜかインターンシップに行って四苦八苦していたのだ。
この記事はそのあたりとは関係なく、マレーシア(クアラルンプールとペナン)で見つけた日本語表記を鑑賞していこうと思う。ここでいう日本語はローマ字表記とかも含み、手広くあげてみます。
ファーストインプレッション
「準備ができている Beready」
受け入れの集まりがあった大学の生協で見つけた、最初のマレーシアンな(?)日本語。
こりゃクールだと思って、もうすぐ帰国という時期に友人と探し周り、いくつか買ってきたのだが、日本に帰ってから冷静になりずっと放置されている。お値段RM17.90=550円弱で、屋台メシ2~3食分とそれなりのお値段。
しばらく生活するのだから、まずは食品や調理用品を買おう…と同居人とローカルスーパーに行くと、「易鮮保 ラシプ」とか、「しんくうせいせいえん」「あわび汁」等をみかけた。ラシプには ”JHP (Japan) standard規格"規格に準拠、と書いてあるがそんな規格は検索しても出てこない。
ラシプの使い勝手は悪くなかったと思う。しんくうせいせいえんも、ちゃんと塩だ。
イオンでお買い物
ペナン島といえば、世界遺産ジョージタウンやケーブルカー、ビーチのある北側が有名らしいのだが、私が暮らしていたのは空港と工業団地のある南側。
南側にはクイーンズベイモールという大きなショッピングモールがあって、イオンがキーテナント。要するにイオンモールペナン南。いろんなお店が入っているのでよくブラブラしていた。
たまに「Kyubu キューブ 本物のチーズ」「カニ風味カマボコ」なんかを見つけて喜んでいた。cubeじゃなくてkyubuなところや、カニカマの流麗な字体にものすごく愛おしさを感じてしまう。Kyubuはおやつにピッタリのサイズ。
お寿司コーナーもある。「EBBIKO」は赤、グリーン、黒とカラフルだし、「INARI」は見慣れない形だ。EBBIKOの黒いやつを思わず買ってしまったが、海苔の軍艦の比じゃなく黒かった。味は拍子抜けするほど普通…。
オモシロな部分を抜き出してしまったけれど、日本のイオンと同じようなお弁当が売っていてイートインもあるので、日本米が恋しくなったときには重宝してました。
イオンモールなので日系企業のテナントも多い。ダイソーやユニクロが入居していたのだけど、同じモール内に平然と「MINISO メイソウ」「YUBISO ユビソオ 優美創品」がいるのでびっくりしてしまう。いや、なんだろう、ケンカにならないのか?「KIODA」なんてのもいたが、これはそれっぽいだけで韓国語のようだ。
(一部で有名な中国発ブランドの)メイソウはともかく、ユビソオってなんだよ、という気分になったが、これはマレーシア発の日本ブランドらしい。このモールにとどまらず、ジョージタウンにも、首都クアラルンプールにも、いろんなところに店舗がある。
キャッチコピーは「品質の生活、幸せな生活」
そして…これらのショップのネタ元の1つ(?)であろう我らがダイソーも、なぜかレジに「火の用心」提灯があるなどちょっと抜けた感じだった。商品も1つ180円くらいするが、結構混んでいる。部屋にハエが湧きまくって、蝿捕紙を買ったりとよくお世話になっていた。
自動販売機
自動販売機は日本特有のもので…というお話は聞くけど、マレーシアにもあることにはある。ただ数はすごく少なくて、飲み物を売っているタイプは、インターン先の会社の休憩室とフェリーターミナルくらいでしか見かけなかった。
会社にあった自販機は、日本仕様のものをテプラで何とかしてつかっていた。ミルクや砂糖の量の調節も親切にマレー語と英語で説明している。1杯30円くらいと安いのでよくマンゴージュースを飲んでいた。
一方こちら、ショッピングモールテナントの店先にあった謎の自販機「世界一ハチベイ」
当時は日本語のインパクトに魅かれただけでよくわからなかったのだけれど、今調べてみると…「クアラルンプール国際空港の自動販売機でRM1300(=3万5000円くらい)を費やし、出てきたのはドライヤーだけ」みたいな記事がヒット。
これ、日本でいうところの、1000円自販機…。
ゲームコーナーにも「ぬいぐるみの自動販売機」というUFOキャッチャーがあったし、向こうの自動販売機にはゲーム性がつきものなのだろうか??
日本人向けの日本語
日本人向けに書かれた日本語、というのももちろんある。観光客を意識したものは当然あるが、日本人駐在員がターゲットだろう、というのも案外多い。(ペナン周辺は日系企業の工場が多々立地しているのだ)
僕も、(おそらく)日本人を意識してやっているお店を3店ほど訪問した。「日本料理 若葉」ではカツカレーを食べ、「哲平食堂」では出汁巻き卵つきの鰻丼を食べた。「明治屋」は日本食品店でだいたいなんでもあるお店だ。
明治屋にはナマコ石鹸を買いに行ったのだが(マレーシア土産として有名らしいのだ)、日本酒や調味料がずらりと陳列されている様にいたく感動を覚えてしまった。ああ、柚子胡椒、そして七味…。外には日本語が描かれた段ボールが放置されていて余計に感動する。滞在期間の後半で、自分の琴線に触れる瞬間がわからない。パルムの抹茶味が売っていたので買って食べた。
日本人駐在員向けの新聞も発行されているようで、同居人がなぜか手に入れてきたことがある。
紙面は見覚えがある感じでやっぱり安心するが、「ウォシュレットで劇的に変わる 毎日のトイレ生活」と銘打ったTOTOの広告はどうにも切実な感じがした。
まあ、慣れてしまえば、向こうのシャワートイレも結構快適。今見返すと沢山写真が残っているので、当時かなりのカルチャーショックを受けていたんだろうけど。
そんなトイレにて。ショッピングモールで見かけたが、日本人観光客を意識したものだろうか。トイレで慣れないことして忘れ物をしない様注意!
ショッピングモール巡り
当時の写真を見返してみるとショッピングモール店内ばっかりである。ジョージタウンに行ってもクアラルンプールまで旅行しても、だいたいショッピングモールに行っている。クーラーが効いているから。
そして、ショッピングモールは日本語の宝庫。
みんな大好き「Superdry 極度乾燥(しなさい)」の公式ショップもあったりする。正直欲しかったのだが、極度乾燥は普通にいいお値段がするブランドなので(一番安いTシャツで3000円くらい?)当時から服に全くお金をかけていなかった自分は買うのを躊躇ってしまった。メチャクチャ後悔しています。
「トーキョーストリート」
ショッピングモールの大看板。提灯がお洒落。
「しあわせこいこい やってこい」
ショッピングモールの大型ディスプレイ。春節シーズンなので、どこ浮かれている感じがあった。
モールにあるテナントや広告、紹介しているときりがないので…
「定食弁当」「ジャピン」「ズズッド チキンブロスラーメン」「UMAI-YA」「零食物語 日本のスナックとドリンク」「Tori-Tori 日本の焼き鳥」「Wakaiライフスタイル」
店頭メニューがある日本風のごはん屋さんもあり、それを眺めてみるのもまた楽しい。せっかくだから入ればよかったな…と、今になって思うけど。変なところで保守的だったなあ、当時の自分。
書店の日本語
クアラルンプールには紀伊国屋書店があるし、そこそこ大きめの本屋さんに行けば日本のアニメDVDが売られていたりする。ただこれは海賊版という話がある。ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン等、チョイスも妙にマニアックさがある、、、
また、あまり見なかったけれど、マレー語話者向け日本語学習教材なんかも売られている。
例文が「らいしゅうの かようび おたくの いますか」「けっこうです らいしゅうに かかります」とカタコト。すごく気になるけれど、好意的に解釈すれば、まずは拙くても、少しでも話せるように…ということなのかな?と思ったけど… いやこれ、単に、著者が日本語に詳しくないのかな…
「エヴァとコピと抹茶」というコミック。マレーシアのお隣シンガポールと日本の違いをいろいろとあるあるネタにした本(?)で、なんか買ってしまった。Kindle Unlimitedにもあることに今気づいた。
https://www.amazon.co.jp/Eva-Kopi-Matcha-English-Evangeline-ebook/dp/B01LFG19LQ
ナイトライフ
日本でもナイトクラブなんて行った経験がないんだけれど、このとき一緒にクアラルンプールにいった友人に誘われ、国内随一らしい高級クラブへ行くことになってしまった。
正直なところ怖かったのだけれど、入り口で光輝く「ドリンク」「充電」「でんしゃのりば→」で緊張が解けたし、来て良かったなと思った。
マレーシアの富裕層と外国人観光客が来るところみたいで、日本人もわりといました。シャンパンタワーとかドンペリとかを初めて見た。ほかに分類できないので「ナイトライフ」なんて項をつくっちゃったけれど、後にも先にもこれきりなのでここで終わりです。
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こんな感じで、2か月間いろいろとマレーシアで日本語を蒐集したら結構な分量になった。ひとえに日本語といっても、日本人向けに書いたものから現地人向けの装飾まで、日本企業やマレーシア企業、あるいは中国企業が、いろんな形で運用をしていた。あれから3年半、今はどうなっているんだろうか。また行きたいな。