ぱらのみっく・ういんどう

旅をしたりしなかったりするブログです。

荒川線の路面電車らしさを探す【都電荒川線・2021年初夏】

都電荒川線。最後に残った都電で、路面電車といいつつほとんどの区間は柵で区切られた専用軌道。東京の北の方を走る。

 

僕の都電に関するイメージはそんな感じで、それでもいちトラム好きとしてずっと気になっていた。もっとも、地方に住んでいた頃はたまに東京に出てきても、東京の大都会ぶりを堪能するのに精いっぱいでなかなか目を向けることができなかった。

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かわいい一両編成。でも電車なので案外デカく、迫力がある。

去年、千葉に引っ越してきて、今年、おもわず新しいカメラ(リコーGR-III)を買ってしまった。遠くの街の大規模な路面電車網だって気になるが、なかなか遠征はできそうにない。これは荒川線を満喫するいい機会なのかもしれないな、そう思い、カメラの撮りおろしも兼ねて沿線へ向かう。

 

荒川線ときいてまず思い浮かべるのは、車と混じって走る、王子駅前~飛鳥山の併用軌道区間。ここは、荒川線がしっかり路面電車しているエリア。

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王子駅前。結構な急カーブで道路へ躍り出る。

ちょっと意外だったのが、ここ、結構な急坂なのだ。歩いていてよくわかるくらいの、しかも大きくカーブした坂道。なんとなく路面電車(というか電車全般)は坂とか苦手な気がしていたけれど、この程度なら案外平気と見える。

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飛鳥山をぐるっと回るように下っていく

もっといえば、この道の横に涼し気な渓谷っぽい公園(音無親水公園)があるのも意外だった。道路上を走るというから、駅前の街のなかで仕方なく…という印象だったのだけど。飛鳥山もあるし、むしろ沿線の中でも緑が豊かな気持ちの良い区間だったのだ。

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みんないっしょに。

さて、荒川線の路面電車らしい区間はこの飛鳥山あたりだけ…とずっと思っていたのだけれど、これも勘違いだった。確かに、立ち入りができない専用軌道は多いのだけど、案外しっかりと(?)いろんなところに路面軌道風情を感じさせてくれるのだ。

 

 

例えば大塚駅

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北側。とても路面電車している路面電車だ。

北口にはごくごく短い区間だけど、思い切りよく道路上を走る雰囲気の区間がある。電車がここで信号待ちをする姿は、わかりやすく路面電車。ただ、よく看板を見てみると自動車は進入禁止だ。

 

南口も、柵で区切られてはいるけれど、線路上が舗装されている。普通の電車だとここがバラスト敷きで、枕木があるわけで、この舗装というのはやはり路面電車の印象を強めてくる。

駅前に2か所ある踏切も、警報機や遮断機があるわけではなく、電車が近づけばビービーと警告音が鳴り響く。

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南側。人を散らしながら走る。

こういうところ、車や人が立ち入れないようになっているから、併用軌道(路面区間)ではない…という扱いと聞いたことがある。あまりそのあたり詳しくないが…。

大塚駅周辺は、すくなくともどちらも自動車は進入できない。ただ、トラムマニアのテンションを上げるのには、この光景は十分路面電車している。

 

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荒川線沿線はバラが美しい。

 

 

踏切信号も多い。つまるところ、黄色と黒の警戒色の踏切の代わりに、普通の道路用信号が立っていて、赤信号の時に電車が横切っていく。車や人は他の道路信号と同じように従うだけでよい。

これも、路面電車(と、工業地帯の貨物線)くらいでしか見かけないタイプの踏切。東京の西側、東急世田谷線の紹介で環七の若林踏切がよく取り上げられていたりと、トラムらしさの一つだと思う。ゆっくり走る駅近くに多い。

 

荒川線にはそういう踏切が結構いろいろなところにあるのだ。町屋駅前なんかはうまく写真を切り取れば、完全に都会の併用軌道区間の雰囲気。

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町屋駅前。都会をゆく路面電車の雰囲気。

新庚申塚では広い白山通りの流れを止めて、一気に渡る。信号が変わるまで、電車がずいぶん待たされていたけれど。

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新庚申塚。白山通りを堂々と。

踏切信号…ではないが、新庚申塚電停の裏手で、白山通りの一本となりの道。遮断機と警報機のない踏切で、路地をぬらっと電車が横切る。こんな風景を見つけては喜んで歩いた。

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白山通りと対照的な、路地裏の4種踏切。

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沿線はほんとうに緑が多い

 

さてWikipediaで”都電荒川線”の項目を見てみると、王寺駅前~飛鳥山間のほかに小台~熊野前も併用軌道だと書かれている。これは知らなかったのでじっくり歩いてみることにした。

その名の通り神社の目の前にある、宮ノ前電停で降車。道路に挟まれて舗装された線路、これはもう路面電車!な光景が広がっている。

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宮ノ前電停から、熊野前方面。頭上のごちゃっと感が路面電車ポイントを稼いでいる。

道路との間は、低い柵で区切られていて、車は入ってこれないようになっている。それでも交差点がいくつもあるからか、電車内では「このさき車と混じって走る区間ですので、急停車にご注意ください」という意味合いの放送がされる。

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小台方面。ぼちぼち暑くてへとへとで、あまりうまく写真を撮れなくなってきた。

 

もともとはこの区間、道路の片側に線路が寄っているという、割と珍しい区間だったという。YouTubeに当時の映像が上がっていて、これを見るとずいぶんと道が拡張されたんだな…。

都電荒川線・熊野前~小台の偏心軌道(1984). Arakawa Line, Tokyo Municipal Tramway - YouTube

荒川線も、東京走っているだけあり、なんというか変化が著しい。

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8500形、個人的にこの電車が都電のイメージ

併用軌道区間の終わりの、熊野前の交差点。車の信号と電車の信号が同じなので、どちらも一緒に動き出し、思い切り左折のトラックに被られてしまう。トラム撮影あるあるだけど、なんだかそれも愛おしさ。

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熊野前陸橋をくぐる。上には日暮里舎人ライナーが走っていたりする。

荒川線は自分が思っていた以上に路面電車していた。

もっとも、今回あまり取り上げていない専用軌道区間の方が、断然距離は長いのだけれど。その区間も線路沿いに歩けたり、そうしていると小さな電停が現れて、そこで電車を待ったり…と散歩して楽しい。この日行かなかったエリアも見てみたいし、四季折々の花も綺麗な地域。定期的に通いたいなと思う。