ぱらのみっく・ういんどう

ひとり旅のブログ。乗り鉄中心、バスに船、街歩き。ひとつのテーマをじっくりと…。

SL銀河の「帰り路」を追う【SL銀河/回8533D・2022年初夏】

釜石線を走るSL銀河のチケットが取れ、日曜運行の片道全区間を乗ることができた。

朝に釜石駅を出発し、花巻駅には15時半前に到着。このあとはSL銀河の回送を追いかけつつ、盛岡まで向かうことにしたい。

SLについていた運行表(右)。ハキ→モリ の「後回8533D」が今回とりあげる回送

 

 

この「回送」をわざわざ追いかけようと思うのは、このSL銀河の回送方式がちょっと独特だからだ。

 

SL銀河の車庫は盛岡にあるが、花巻に到着した時点で、機関車は盛岡とは反対側(一ノ関/仙台方面)を向いている。普通ここから盛岡方面へ回送となると、機関車の位置を付け替えたり、別の機関車を持ってきたり…という作業が必要となる。

一方SL銀河の場合は、そのまま機関車を後ろにつけたまま客車が走り出していく。SL銀河の客車は、実はディーゼルカーの改造であり、自走可能…というのは趣味界隈ではそれなりに有名な話。「客車に引っ張られて走る蒸気機関車」は、多分ここだけ…だと思うので、一度見てみたかったのだ。

駅裏から見送る。花巻電鉄の保存電車を見に行こうとして諦めました。

花巻駅周辺をうろついていると、大きな汽笛が聞こえてきた。駅裏手にいる間に、SL銀河はバック進行で発車していってしまう。しまった。

 

花巻空港駅:普通電車内より

自分も一旦駅に戻り、15時50分の盛岡行普通電車に乗り込む。

この空間好き。

東北本線を走る701系は、ワンマン運転のときは後ろ側の窓際まで近づける。そこにスタンバイし、次の停車駅・花巻空港に到着。

花巻空港駅へ。機関車がいた!

 

ホームを挟んでお隣、回送のSL銀河が止まっています。ホームにはカメラを持つ人が数人、機関車の近くでは乗務員さんが歓談中。

3~4人のギャラリーが見守ります。

一時期は空港アクセス手段がなかった花巻空港駅。今はアクセスバスが経由します。

普通電車なのですぐに発車してしまいます。そのまま先頭に立つ客車を見送り…。

このあとSL銀河回送は、日詰でも長時間停車する。適当な駅で降りて、客車が先頭になって本線を走るシーンを見ておいても良かったのですが、観光の欲求に抗えずとりあえずそのまま盛岡へ。

冷麺食べたかったし…

展望室とか登りたいし。

地下の食堂で冷麺を食べたり、公共施設の展望台に登ったりと、盛岡駅周辺でやりたかったことを済ませて、入場券を買って再び改札内へ。

 

盛岡駅到着シーン

盛岡には17時半頃にSLの回送が到着するようだ。7番線につくので、お隣田沢湖線のホームで待ち構える。

SLが目立たず、普通のディーゼル列車みたいだ。

ホーム先方からライトが見え、ゆっくりゆっくりとSL銀河が入線してきた。ホームにもギャラリーが数人程度。マニアらしき、動画を撮っている人が多いかな。

SLが後ろにくっついて、客車が自走してくる…のは、見た目にユーモラスさ、物珍しさがあるかな、と思っていたけど、案外そうでもない。SLが目立たないのもあるし、前日に釜石で客車だけ動くシーンをみていたからかも。どうも「そういうもの」として見れてしまう。沿線で走る姿を、こうサイドから見ればまた違ったかな?

今週末もお疲れ様でした。

到着後、蒸気機関車と旅客車はさっさと切り離されてしまう。いつのまに。

気づけば切り離しが終わっていた

ただのキハ143になり、回送。このあとは見かけず。

まず旅客車が青森方面へ回送されてゆく。こちらは盛岡駅の青森方にある車両基地に入庫する。ついで、蒸気機関車もバック運転で青森方のホーム端へ。

跨線橋より。ホームギリギリに停車。

駅の外からもよく見えるのだ

改札を出て、跨線橋を渡り駅裏のバス駐車場まで歩く。跨線橋にも駅裏にも、SLを眺めに来たらしき人がちょくちょくいる。改札外は特に家族連れが多く賑やかで、マニアがまばらにいるだけだったホーム上とは対照的。地元のちょっとした名物、鉄道好きの子の週末の楽しみ…として根付いている感じがした。

SL銀河、盛岡は回送でしか走らないのだけど、それでも週末にSLがいる…というのはなんだか羨ましいし、存在感がある。

 

駅裏で見ていたら、貨物列車がやってきた。スピードを落とし、ちょうど蒸気機関車に被る形で、大きな音をたてて停車。

大先輩と後輩

今の東北本線の主役は貨物列車なんだなぁ…という堂々たる長編成で、こうなるともう蒸気機関車は見えない。ただ、停車はほんの少しで、すぐ動き出した。

 

転車台と入庫

駅裏…盛岡駅西口から徒歩5分ほど歩くと、かつての車両基地の隅に転車台と機関庫が整備されている。ここ、見学ができるらしいと情報を得ていたので、そちらにも行ってみることにした。

あまり積極的にアピールはされていないようだが、入り口には駐車場がある旨、カンバンが立っている。

(矢印)このあたりにある。右下が盛岡駅

なんだか不安になる入り口だが、駐車場の案内が出ている。

ここ、行っていいのか?と思ったが、駐車場の案内が出ている。坂を登ってみるとちゃんと見学用通路が整備されていて、鉄道150年の横断幕もかかっていた。

坂を登ってみると大きな機関庫が。三角屋根レンガ風の意匠。

そして転車台

渋いねえ

青と黄色に彩られた釜石駅の転車台と比べると、かなりシックな雰囲気。個人的にはこちらのほうが好き。

SL銀河関連の転車台、2様。左:釜石駅、右:盛岡駅

駅隣接のビル・マリオスの展望台のにあった古そうな写真にかつての転車台が写っていた(右側写真)。今も、建物配置から転車台の位置は変わっていなそうだ(左側写真)。機関庫に隠れているけれど。

ずいぶん古そうだが、国鉄時代からここにあったものらしい。かつては盛岡機関区の転車台で、SLの運行開始に合わせて放置されていた転車台を復活させ、ついでに機関庫も建設したようだ。

今の盛岡の車両基地は駅を挟んで青森方にあるので、蒸気機関車だけこちらで休むことになる。

転車台脇にいた車両。SLを移動させるための機械かな?

三脚持ちで動画撮影をスタンバイしているマニヤ、自転車で来ている親子連れなど、ぱらぱらと人が集まり始める。多くても10人前後だった気がする。

たまたま転車台を見に来た人に「もうすぐSLが来るんですか?」と聞かれ「詳しくはわかんなくて…ネットの情報だとあと20分後くらいみたいですね」と話したりしながら過ごす。どうも盛岡市内でも、知る人ぞ知る…というポジションか。あるいは毎週のこと、日常として溶け込んでいるのか。

 

C58-239の入庫

18時を回った頃、遠くから汽笛が聞こえてきて、ドラフト音とともに機関車がゆっくりやってきた。

ゆっくり、ゆっくりと…

転車台へ!!!!

何度か停止しながら、蒸気機関車が転車台に乗る。そして回転開始!!

夕日がボディを照らす

機関庫の位置関係的にそこまで回転しない。時計だと2時分くらいだろう。

そのままバックし、機関庫にお尻を突っ込んで、整備が始まる。整備は18時15分過ぎ頃まで続き、そして機関庫へ戻っていった。

今週末もお疲れ様でした。

入庫。新幹線と絡めて撮ろうとして諦めた図。

いやあ、良いものを見れた。

そのまま盛岡駅に戻り、お土産を物色してから18時50分の新幹線で東京へ戻りました。それでも東京駅にも21時代には着くので、時間的に問題がなさそうならこの「回送&入庫見学」はとてもオススメしたいところ。

ここまで立派な機関庫も作ったんだし、SL銀河、車両リニューアルして運行継続しないかな~~。