釜石線を走るSL銀河のチケットが取れ、日曜運行の片道全区間を乗ることができた。
朝に釜石駅を出発し、花巻駅には15時半前に到着。このあとはSL銀河の回送を追いかけつつ、盛岡まで向かうことにしたい。
この「回送」をわざわざ追いかけようと思うのは、このSL銀河の回送方式がちょっと独特だからだ。
SL銀河の車庫は盛岡にあるが、花巻に到着した時点で、機関車は盛岡とは反対側(一ノ関/仙台方面)を向いている。普通ここから盛岡方面へ回送となると、機関車の位置を付け替えたり、別の機関車を持ってきたり…という作業が必要となる。
一方SL銀河の場合は、そのまま機関車を後ろにつけたまま客車が走り出していく。SL銀河の客車は、実はディーゼルカーの改造であり、自走可能…というのは趣味界隈ではそれなりに有名な話。「客車に引っ張られて走る蒸気機関車」は、多分ここだけ…だと思うので、一度見てみたかったのだ。
花巻駅周辺をうろついていると、大きな汽笛が聞こえてきた。駅裏手にいる間に、SL銀河はバック進行で発車していってしまう。しまった。
花巻空港駅:普通電車内より
自分も一旦駅に戻り、15時50分の盛岡行普通電車に乗り込む。
東北本線を走る701系は、ワンマン運転のときは後ろ側の窓際まで近づける。そこにスタンバイし、次の停車駅・花巻空港に到着。
ホームを挟んでお隣、回送のSL銀河が止まっています。ホームにはカメラを持つ人が数人、機関車の近くでは乗務員さんが歓談中。
普通電車なのですぐに発車してしまいます。そのまま先頭に立つ客車を見送り…。
このあとSL銀河回送は、日詰でも長時間停車する。適当な駅で降りて、客車が先頭になって本線を走るシーンを見ておいても良かったのですが、観光の欲求に抗えずとりあえずそのまま盛岡へ。
地下の食堂で冷麺を食べたり、公共施設の展望台に登ったりと、盛岡駅周辺でやりたかったことを済ませて、入場券を買って再び改札内へ。
盛岡駅到着シーン
盛岡には17時半頃にSLの回送が到着するようだ。7番線につくので、お隣田沢湖線のホームで待ち構える。
ホーム先方からライトが見え、ゆっくりゆっくりとSL銀河が入線してきた。ホームにもギャラリーが数人程度。マニアらしき、動画を撮っている人が多いかな。
SLが後ろにくっついて、客車が自走してくる…のは、見た目にユーモラスさ、物珍しさがあるかな、と思っていたけど、案外そうでもない。SLが目立たないのもあるし、前日に釜石で客車だけ動くシーンをみていたからかも。どうも「そういうもの」として見れてしまう。沿線で走る姿を、こうサイドから見ればまた違ったかな?
到着後、蒸気機関車と旅客車はさっさと切り離されてしまう。いつのまに。
まず旅客車が青森方面へ回送されてゆく。こちらは盛岡駅の青森方にある車両基地に入庫する。ついで、蒸気機関車もバック運転で青森方のホーム端へ。
改札を出て、跨線橋を渡り駅裏のバス駐車場まで歩く。跨線橋にも駅裏にも、SLを眺めに来たらしき人がちょくちょくいる。改札外は特に家族連れが多く賑やかで、マニアがまばらにいるだけだったホーム上とは対照的。地元のちょっとした名物、鉄道好きの子の週末の楽しみ…として根付いている感じがした。
SL銀河、盛岡は回送でしか走らないのだけど、それでも週末にSLがいる…というのはなんだか羨ましいし、存在感がある。
駅裏で見ていたら、貨物列車がやってきた。スピードを落とし、ちょうど蒸気機関車に被る形で、大きな音をたてて停車。
今の東北本線の主役は貨物列車なんだなぁ…という堂々たる長編成で、こうなるともう蒸気機関車は見えない。ただ、停車はほんの少しで、すぐ動き出した。
転車台と入庫
駅裏…盛岡駅西口から徒歩5分ほど歩くと、かつての車両基地の隅に転車台と機関庫が整備されている。ここ、見学ができるらしいと情報を得ていたので、そちらにも行ってみることにした。
あまり積極的にアピールはされていないようだが、入り口には駐車場がある旨、カンバンが立っている。
ここ、行っていいのか?と思ったが、駐車場の案内が出ている。坂を登ってみるとちゃんと見学用通路が整備されていて、鉄道150年の横断幕もかかっていた。
青と黄色に彩られた釜石駅の転車台と比べると、かなりシックな雰囲気。個人的にはこちらのほうが好き。
ずいぶん古そうだが、国鉄時代からここにあったものらしい。かつては盛岡機関区の転車台で、SLの運行開始に合わせて放置されていた転車台を復活させ、ついでに機関庫も建設したようだ。
今の盛岡の車両基地は駅を挟んで青森方にあるので、蒸気機関車だけこちらで休むことになる。
三脚持ちで動画撮影をスタンバイしているマニヤ、自転車で来ている親子連れなど、ぱらぱらと人が集まり始める。多くても10人前後だった気がする。
たまたま転車台を見に来た人に「もうすぐSLが来るんですか?」と聞かれ「詳しくはわかんなくて…ネットの情報だとあと20分後くらいみたいですね」と話したりしながら過ごす。どうも盛岡市内でも、知る人ぞ知る…というポジションか。あるいは毎週のこと、日常として溶け込んでいるのか。
C58-239の入庫
18時を回った頃、遠くから汽笛が聞こえてきて、ドラフト音とともに機関車がゆっくりやってきた。
何度か停止しながら、蒸気機関車が転車台に乗る。そして回転開始!!
機関庫の位置関係的にそこまで回転しない。時計だと2時分くらいだろう。
そのままバックし、機関庫にお尻を突っ込んで、整備が始まる。整備は18時15分過ぎ頃まで続き、そして機関庫へ戻っていった。
いやあ、良いものを見れた。
そのまま盛岡駅に戻り、お土産を物色してから18時50分の新幹線で東京へ戻りました。それでも東京駅にも21時代には着くので、時間的に問題がなさそうならこの「回送&入庫見学」はとてもオススメしたいところ。
ここまで立派な機関庫も作ったんだし、SL銀河、車両リニューアルして運行継続しないかな~~。