ぱらのみっく・ういんどう

ひとり旅のブログ。乗り鉄中心、バスに船、街歩き。ひとつのテーマをじっくりと…。

深山をゆく単行ツーマン快速(3637D 山田線快速リアス・2022夏)

山田線

岩手県内で完結する鉄道路線で、今は盛岡駅宮古駅を結ぶ。2011年の震災前は、宮古からさらに三陸海岸沿いを南下し、線名の由来である山田町を経由して釜石まで向かっていた。

この区間津波被害ののち、紆余曲折あり三陸鉄道として復活することになった。したがって、今のJR山田線としては、北上高地を横断する部分だけが残っている。


しかしこの山田線、並行するバス路線が強すぎる故に、ぼちぼち存続が怪しい感じがある。山田線は全線を走るのが1日4本だが、バスの方は40分くらい早くて1日12本もある。(2022年7月/土休日は10本) 

山田線のライバル、岩手県北バス。

左が鉄道、右がバスの時刻表(宮古駅) 何が恐ろしいって、バスの方はコロナで大幅減便を食らってコレなのだ。

まだ公式には存廃議論のような素振りはないが、少し前にJR東日本が収支公表した閑散区間のPDFにはガッツリ名前が乗っていて、嗚呼…まあそうだよな。まあ、JR東日本のローカル線はほとんど全部名前が乗っていたかのだけれど。

 

さて、そんな山田線に乗りに来た。

新幹線との接続はかなり良く、1109発の「快速リアス」3637Dは、東北新幹線はやぶさ9号(8時40分東京発→10時55分盛岡着)から乗り換えができる。ただしこの新幹線は22年春改正で臨時列車化されてしまったので、日によっては走らない。

私はもうすこし余裕がほしいと、1本前のはやぶさ7号に乗って、10時30分に盛岡につく。

 

 

盛岡駅

新幹線乗換改札口

盛岡駅は新幹線改札内にはたくさんのお土産屋・駅弁屋があり、ニューデイズもある。
一方で、在来線改札内には売店もなく、自販機くらいでとても簡素。

山田線には2時間半くらい乗るし、なんか、食べておこうかな、と思っていたのだけれど、うっかり買いそびれてしまう。在来線側、こんなにも寂しいとは…。

 

列車の到着がない時間はがらんとしている。

 

 

車両:キハ110系と車内の雰囲気

快速リアス号は一番駅舎側のホームに止まっている。なんと1両編成だ。

「愛称付き」の「快速列車」で「単行列車」だけど「車掌乗務」と、ひとつひとつの要素はわかるが、まとめてしまうと結構珍妙な気がしてくる。

今日のお供はキハ110-137

車両はキハ110形。JR東日本のローカル線ではよく見かける。登場がバブル期だからか、作りがしっかりしていて、どことなく高級感のある車両だと勝手に思っている。

それなりに新しいイメージがあったけれど、東北や信越国鉄型キハ40系気動車が(観光列車を除いて)すべて引退してしまった現在、実はJR東日本最古参の気動車だとさっき気づいた。

同じ日に見かけた、東北本線釜石線経由の快速はまゆり。こっちは同じキハ110でも、リクライニングシート指定席付きで立派だ。
車内には既に、わりと人が乗り込んでいる。進行方向右側の2人ボックスシートは埋まってしまっていたので、左側にある4人ボックスシートにひとりで座る。

普通のローカル線車内風景と言った感じ。

みんな旅行客だろうか、後ろのボックスですでに盛り上がってる人、キャリーバッグをもった男女二人組。僕と同じ一人旅と思しき人は時刻表を手繰っている。

日常利用というよりは、旅の雰囲気を強く感じる人ばかりだ。


盛岡市内の区間ですらかなり本数が少ないし、おまけに快速で駅を随分飛ばす。時間帯もあって地元客というのは少ないのかもしれない。

そういえば、観光客の便を図るため、車内にはミニテーブルがついている、という話があったのだけれどそういうものは見当たらない。感染症対策で撤去されてしまったのだろうか?まあ、お弁当買いそびれたのであまり影響はないけど。

 

よく見ると左下の窓枠下に金具が。テーブルはずしちゃったのかな。

 

 

盛岡→上米内

時刻表通り、11時09分に発車。

結局このときに乗っていたのは20人弱で、ほとんどの人が宮古まで乗り通した。
新幹線やIGR線なんかと分かれて、盛岡市内を進む。1日数本の路線でも、しっかりと踏切なんかは整備されている。(それはそうか)

盛岡駅の裏手。

山岸駅
上盛岡、山岸と駅に停車する。この辺はまだまだ市街地で、上盛岡なんかは隣にマンションやロードサイドショップあるし、山岸は住宅街だし、で、案外本数を増やせば市内区間は利用があるのでは…?と一瞬思い始めたところでローカルゾーンに突入する。もう緑しか見えなくなる。
 

一気に郊外に。このあとを考えるとかなり拓けているのだけど。
盛岡〜上米内間は一時期社会実験として増発もしていたらしいのたけれど、あまり利用は伸びなかったらしい。バスや自家用車がやはり優勢なのだろう。
一方で、やはりせっかくの市街地…となれば、山岸の少し先まではLRTにできないか?と活動している市民団体もあるようだ。一応、現状でも盛岡〜上米内間は区間列車が2本ほどある。
 
緑のなかを走り、上米内につく。ここは交換可能な2面2線駅で、しばらくとまって宮古からやってきた盛岡行とゆきちがう。あちらは2両編成だった。

上米内駅にて最初で最後の行き違い。
 

上米内→区界

上米内から先、25.7km先の隣駅・区界まではもう、なにもない。
なにもないという言い方も変だけれど、実際なにもないのだ。山岸~上米内間だってまだまだ拓けていたなという気分になる。
 
この間にあった大志田と浅岸の2駅は2016年に廃止されてしまった。利用がほぼ無い上に、下手に開設しておくと利用者がクマに襲われかねず、危険だったとか…。

ずっとこんな景色。北海道で函館本線長万部~小樽)に乗ったときを思い出す。

ただただ緑の中を進む。この区間は車掌さんが運転席の横に立ち、前方をずっと注視している。駅がないので旅客対応の必要もないし、このほうが非常時の対応に都合がよいのかもしれない。あるいは、鹿とかが出るのでその見張りだろうか?

 
暇つぶしにスマホを見ようにも電波が立たない。106特急バスはwifi完備らしく、本数や所要時間以外の面にも格差を感じてしまう。
GPSは入るので、読み込みが半端で解像しないGoogle Mapを見ながら今どのあたりだろうか、と見当をつけながら過ごす。

大志田駅跡地を通過。

浅岸の駅前通り。
大志田・浅岸の両駅跡はいまでも保線の拠点となっているのだろうか、建物がいくつかあり、道も見える。ただそれ以外にはなにもない。
 
ただ、駅跡地の近くでは電波が入るため、ここが駅であったことを感じることはできた。そういえば、ドコモは駅での通信環境はどんなローカル線であろうと整備していたな。今でも鉄道の管理のために、きっと必要なのだろう。
 
すこしあたりが開けてきて、区界駅に至る。

少し前まで運行拠点として全列車が停車していた区界駅無人化されて、駅舎も簡素な待合室だけに。
 
 

区界→陸中川井

ここからは、閉伊川に沿って宮古まで下っていく。川沿いということで、上米内〜区境間と比べても建物や畑も明らかに多く、駅もいくつがある。ただ、快速は区界を通過して、そのまま陸中川井までは止まらない。

どーんと高速道路
沿線で目立つのは白く真新しい高速道路。
国道106号のバイパスとして、そして震災からの復興道路として整備された地域高規格道路「盛岡宮古横断道路」である。山田線と競合する106バスも特急便はあちらを経由する。
 
引導を渡す、という言葉が頭をよぎる。
 
平津戸駅は全列車が通過する、というなかなか衝撃的な状態となっている。いわゆる休止駅といやつだけれど、ちゃんと時刻表には描かれている。

平津戸駅。モーターカーがいる辺り、保線の拠点であるのだろう。

乗り降りがないからか?ホーム上も草だらけに。
保線車両がいたりと、山田線を動かす上での機能はしっかりあるようだが、入り口にはチェーンがかかっていてホーム上は上がれず、そのホームも草だらけだった。あっという間に通り過ぎる。
 

ちらっと見える閉伊川大峠ダム。すごくカッコいい。
やはり通過だけれど、川内駅からは宮古への区間列車もあり、ここからはだんだん開けていく。いきなりクライマックスだったみたい。

川内駅。始発列車もあり、こころなしか駅舎も大きい。

荒々しい河原だ。雨がふり始めた。
上米内を出てから次の停車駅、陸中川井にようやく到着。大きな駅舎を構え、駅前にも商店もあるけれど、乗降は無かった。

陸中川井。駅舎が大きい!!
 

陸中川井→茂市→宮古

そのまま閉伊川にそってまた走る。雨が降り出してどんどん強くなる。
途中、国道経由便の106急行バスとすれ違う…と時刻表から推測してずっと眺めていたのだけれど、タイミングが悪かったのか、あるいは国道との間の木々に紛れてしまったのか、結局見ることはできなかった。

茂市。山田線からさらに支線があったんですよ、広い構内がそれを忍ばせる。
茂市駅。かつてはここから岩泉線が出ていたが、2010年夏に災害で不通となり、そのまま廃止されてしまった。岩泉もそのうち行ってみたいが、やはり高速バスが便利なのだろうか。
 

一人おばあちゃんが乗ってきた。
茂市もいまや無人駅だけれど、かつての分岐駅なだけあってそれなりに大きく見える。
この駅から一人、おそらく地元の方が乗ってきた。
途中駅の利用は盛岡市街地で少しだけあったのを除き、多分始めてで、ちょっとびっくりする。山田線にどれだけ期待していないのだという話だけれど。
 
106バスのほとんどが高速経由となった結果、茂市の町に止まる急行便は現在5往復(土休日3往復)。加えてローカルバスもあるが、時間によっては山田線に乗るのかもしれない。

さっきまで山だったけど、だんだん川幅が広くなってきた。
蟇目花原市と通過する頃には、急に広くなった閉伊川河川敷に海の近さを感じ始める。最後の途中停車駅・千徳駅あたりからは宮古市街地が広がる。

 

最後の最後で106バスと併走。

安心感がある地方都市風景が見えてきた。貨客混載バスとすれ違い驚く。
ロードサイド店舗や住宅が並び街らしくなってくる。ほどなく宮古駅に到着した。13時30分着、盛岡を出てから2時間21分後となる。にわかにホームが賑わう。
 

宮古駅

七夕飾り。ちょうど一昨日だ。

集札口のある駅出口。いきなり外で、雨だとちょっと辛い。
宮古駅ホームは出口と入口が分離されていて、出口側はそのままロータリーに直結する開放的なつくりをしている。
一方で入口は、宮古〜釜石間が三陸鉄道として復活した際にJR駅と三陸鉄道駅とで完全に統合されたらしく、改札が同じ。窓口も同じ部屋に2社が並んでいる不思議な作りだった。
 

出札口。列車発車前になるまでは閉鎖される。

雨なので観光は諦め、大人しく乗り継ぐ列車を待つことにする。けっこうな人数が待合室にいるので、結構むわっとした空気を感じる。

次の山田線盛岡行きは15時54分と、またずいぶん先だ。しかしこの1本前は9時22分発で、来るときに上米内ですれ違った列車である。6時間32分も列車間隔が空くのは、なかなかに凄まじい。

このあと回送されて、三陸鉄道の車両が入ってくる。

まあ、ほんと乗れるうちにだな…と思える乗車体験だった。とはいえ、乗っていた20人は全てがマニアという雰囲気でもなく、カップルやグループ旅行者も見かけた。ここまでバスが強くても、鉄道を選ぶ人も存在するのだなあ…という気分。

私の後ろのボックスは半分宴会になっていたし、そういう面で気楽というのはあるのかもしれない。

今回はあいにくの雨で、晴れの日の風景もまた見たいけれど、しかし今度三陸海岸へ行くなら、106特急バスの2階建て車に乗ってしまうかもしれない。wifiついてるし…。

 

おまけ:三陸鉄道移管区間のサイン

さてこのあとは釜石まで向かった。今は三陸鉄道リアス線だけれど、震災前までは山田線だった区間だ。このエリアは新しく作り直した施設が多い…けれど、サイン類の一部はJR様式を引き継ぎ、ラインカラーも山田線の茶色。

復旧作業時にわざわざこうしたのだろうか。過去とのつながりを残していて、ちょっと粋な気がする。

津軽石・陸中山田・大槌のJR式サインたち。

二段ベッドに寝そべって【サンライズ出雲(シングルツイン)・2022年夏】

木次線に奥出雲おろち号に乗りに行こう!と、JR西日本のネット予約サイト(e5489)に張り付いて、指定席発売開始直後の10時申し込んでみる。あっさり往復の指定席が取れてしまった。前日までずっと事前申し込みを頑張って、結局抽選漏れしていたのが嘘みたいだ。

そのまま流れで、同じ日のサンライズ出雲・東京行きを確認してみたら、こちらもまだ空きがある。出雲からの帰りを何も考えてなかったので、えいや!っと買ってしまった。

一度でいいから乗ってみたかった、憧れの寝台特急

はじめての寝台特急だ。

昔図鑑でみて憧れていたブルートレインたちは、結局じわじわと数を減らし、最後まで残っていた「あけぼの」も「北斗星」も「トワイライト」ももういない。クルーズトレインの類を除けば、もうサンライス瀬戸・サンライズ出雲だけになってしまった。

夜行列車で一夜を明かした経験は「はまなす」の指定席リクライニングシートくらいで、ベッドに寝そべりながら移動するというのはどんな気分なんだろうか。期待しつつ、期待しすぎず、当日を待っていた。

 

 

乗車まで

奥出雲おろち号から木次線山陰本線と乗り継いで、出雲市駅へ向かう。ついたのは17時過ぎ。

出雲市駅。この旅行中はずっとお世話になりました。

まず夕食を調達するべし!と事前に情報を得ていた。サンライズ出雲には車内販売がないので、買いそびれると明日朝まで絶食状態だ。

せっかく汽車旅だしね、と、駅で駅弁を探したけれど、感染症の余波か取り扱い中止だったり、すでに売り切れていたり。「そば弁当」で有名だった出雲市駅の駅弁業者はすでに撤退済みで、今は基本的に松江駅の業者のものを売っているから、回される絶対数も少ないのかもしれない。

結局、駅近くのお寿司屋さんでセットをテイクアウト、あとは改札横のセブンイレブンで飲み物やおつまみを調達した。

駅チカ温泉「らんぷの湯」 夜行に乗るときはこういう施設が有り難い。

また列車内はシャワーがあるが、使える人数が相当限られているらしい。先に確実に汗を流そうと、駅チカのスーパー銭湯に向かう。

スパ銭といえどお風呂はしっかり温泉の茶色い濁り湯、思いの外長湯してしまった。脱衣所に戻れば、キャリーバッグを持っている二人組や、地元の方とサンライズに乗ることを談笑する旅行者も見かける。立地が良いので、サンライズ乗車前後の利用が浸透しているのだろう。

 

早めにホームに上がる。サンライズは発車ギリギリまで入線してこないらしいのだが、いつ来るのか正確な時間はよくわからない。とりあえず入線シーンを眺めたいので、ホームの端よりで待つ。

ホーム上には旅行者多数。みんなサンライズに乗るのだろう。

ゆっくりと入線してきた。

18時50分の少し前、西出雲方面から列車がゆっくりと入ってきた。

ホームの端の方には、自分も含めてぽつぽつとカメラを持った人が集まる。発車時刻は18時53分だからあまり余裕はない。軽く写真を撮ったら、乗り遅れないように自分の部屋のある2号車に向かう。

形式名は285系、駅看板といっしょに。写真に写る1号車が一番うしろになる。

東京まで一本で。「伯備線経由」とあるのは、廃止されたサンライズじゃない方の客車寝台特急「出雲」との区別のため、だろうか。「出雲」は山陰本線をずっと走るルートだった。

 

本日の部屋:シングルツイン

今晩泊まるのは、2号車車端部にある「シングルツイン」。なんだか妙な名前だけれど、シングルルームとしてもツインルームとしても使える個室、ということらしい。

1階部分

2階部分

見た感じ、個室二段ベッドのお部屋。

今回は自分ひとりで乗るので、要はツインルームのシングルユース。寝台料金は9600円で、同じ1人用個室B寝台の「ソロ(6600円)」「シングル(7700円)」あたりと比べるとわりと高い。

加えて特急料金が3300円、出雲市→東京都区内の乗車券が12210円かかり、しめて25110円が本日の宿泊料金となる。結構いいとこのホテルだ。

やっぱり値段はそれなりにする。でも、私も電車好きの例に漏れず、親にブルートレインに乗りたいと頼んでは「自分でお金を稼げるようになったらね」と言われ育ってきた。もう何も躊躇うことはないんだ。特急と新幹線を乗り継いでも20670円するので、個室で寝てれば着いてしまうことを考えれば、まあ十分アリな価格でもある。

 

ちなみに、ホントは「ソロ」か「シングル」に乗るイメージだったのだけれど、e5489だと「禁煙B寝台」という選択肢しかなく、結果的にこの部屋がとれてしまった。部屋タイプの細かい指定には、サンライズ専用の予約サイトを使うか、駅で申し込むかする必要があるらしい。

サンライズの中ではかなり広い個室だろう。

部屋のドアを開けて、喜んで写真を撮ったりしているともう列車が動き出してしまった。え、もう発車?かなり忙しない感じだけれど、2面4線高架駅の出雲市駅では、夕方ラッシュ時間帯に長々と止めておける余裕がないのかもしれない。

東京まで12時間15分の旅がはじまった。

 

「シングルツイン」は2段ベット構成となっていて、下のベッドは椅子とテーブルに変えることができる。シーツをはがし、真ん中のモケット付きパネルを外して、机を出せば完成。外したパネルは広い方の椅子の後ろのカベに沿ってはまるので、背もたれになる。

折りたたんで椅子モードに。テーブルも出てくるよ。

デフォルトの状態だと、ベッドではないスペースが案外狭い…ので、一人利用なら下段を椅子にしたほうが、着替えなり荷物置き場なりに便利だ。というか、こうしないとテーブルが出せない。

外したシーツや掛け布団、枕や浴衣は、使っていない方の椅子や天井近くの収納スペースに、適当においておいておく。

 

コンセントは、部屋の中の階段の段の下(いや中?)に1箇所、というなんとも微妙な場所に。最近のビジネスホテルのような、枕元で充電、みたいなことはできない。

まあ、1998年、20世紀の電車と考えると、これはむしろ「あるだけ有り難い」と考えるべきだろうな。総武線快速グリーン車も、最近ようやくコンセントが付き始めたのだし。

モバイルバッテリーをここで充電し、別のモバイルバッテリーを使って手元でスマホに充電、という運用としてみた。

 

上のベッドに登って写真を撮っていると、扉をノックしドアノブをガチャガチャするような音が聞こえる。

あれ?あ、車掌さんの検札だ!?と慌てて階段を降りて鍵を開ける。すっかり失念していた。ドアを開けると、車掌さん越しに向かいの部屋の人と目が会い少し気まずい。向こう側もシングルツインで、あちらは2人利用のようだ。

今回のきっぷ。寝台券のスタンプは特急「いずも」の381系があしらわれている。

出雲市から東京都区内までの乗車券と、横長の寝台・特急券を渡す。「1人ですか?」「はい、1人利用です」などとやり取りをして、寝台・特急券の方にはスタンプを押してもらった。最近はチケットレスを使ったり、紙の切符でも検札省略のことが多かったりするので、なんだか久々の感覚だ。

 

さて、写真に検札に、乗車後の儀式は一通り終わった。お腹が空いた。

炙り系のお寿司と地ビールで乾杯!

さっき購入したテイクアウト寿司と唐揚げを取り出して、駅売店セブンイレブンで買った地ビールも開ける。寿司はかなり寄ってしまってネタとシャリが分離、そうか、これは駅弁ではないものな…と思いながら割り箸で簡単に整える。

いただきます。

 

山陰本線をゆく

列車は宍道(19:07)・松江(19:24)と停車していく。この宍道から松江あたりまではちょうど宍道湖沿いを走る、非常に景色のよい区間で、夕日もきれい…と聞いていたが、8月上旬の日没時刻(19時過ぎ)では間に合わないようだ。

まあ、今日は雲が多かったし、結局日没は見えなかったのだろう。それでも、薄暮のなか見える宍道湖や、その後ろの島根半島、線路と並行する国道9号線の車の光…は、旅の終わりの感傷に浸るにはなかなか良い。

薄暮宍道湖と島根山脈。宍道湖、でっかいんですよ。

このあたり、まだ駅ホームには人が結構いる。すっかり自室でくつろぎモードなのを見られてしまうのはなんだか恥ずかしい。一方で、どうだ、いいだろう…という謎の優越感も抱いてしまう。

結局気恥ずかしさが勝り、ホームのビジネスマンと私とでなるべく目を合わせないようにお互いそっぽを向く。あ、そうだ、カーテンがあったわ、と思い出して、たまらずピシャリと下げた。

松江駅もすぐ発車。じつは前日に見に行きました。

松江を出ると、宍道湖と中海とをつなぐ大橋川にそって走るが、もうずいぶんと暗くなってしまった。川の中にはこんもりと木々の繁る小島があり気になるが、よく見えない。あとで地図をみると手間天神社というお社があるようだ。

大橋川。この先で完全に真っ暗に

もっとゆっくり食べるつもりが、寿司も唐揚げもすぐになくなってしまう。もっと買っておけばよかった。車内販売がないことは先述のとおりだが、各駅の停車時間も短く駅で買いに走る余裕はない。

ビールはまだ結構余っている。駅のセブンで買ったチキチキボーン鶏皮チップスと、高級そうなチーズちくわを取り出して、それをアテにしてお酒で流し込む。

2人部屋なのでスペースは結構ある。向こうの椅子を荷物置き場にしていた。

揺れる車内、どうにも缶が倒れないか不安で、さっさと飲んでしまいたいな…と思うけれど、アルコールには強くないので、セーブしながら飲んでいく。しかし列車の中でお酒を飲むのも、マスクを外して過ごすのも、なんだかものすごく久しぶりだ。

 

単線区間の行き違いのために、東松江、揖屋運転停車を繰り返して安来’(19:49)に至る。途中見えるはずの中海は、もうだいぶ暗く気づくことができなかった。安来までが島根県内で、続いて停車する米子(19:56)は鳥取県となる。

米子駅。もしやこの部屋、あんまり駅構内が見えないな? 駅名標は緑色に変わった。

行きは飛行機を使ったので、実は私は鳥取県に来るのはこれが初めて。素通りとなってしまいなんだか悔しい。米子からの境線にも乗っておきたいし、いずれ、じっくり歩いてみなくては。

 

伯備線をゆく

美しく輝く大きな工場が見えるが、王子製紙の米子工場らしい。この工場への貨物線がある伯耆大山駅を過ぎると、ここからサンライズ出雲伯備線に移り、中国山地を越えて南下を始める

製紙工場。思わぬ工場夜景にテンションが上がる。

酔いが回ったのか、旅行での疲れか、猛烈に眠気が襲ってきた。

せめて米子までは起きていようと思い、下段ベッドを変形させた椅子に座っていたのだが、そろそろそれも辛い。この椅子は特急列車のようなリクライニングシートではなく、背もたれが思いっきり直角なので、長い時間座るのにもあまり向かないだろう。

つかれた

目標にしていた米子も過ぎたし、どうしても横になりたい。まだ寝るのには早い気もするが、階段で上のベッドへ上がって、電気を消して横になる。幅はかなり狭く、カメラは窓枠に、ペットボトルのお茶やスマホは体と壁の間に挟むように置いておいた。

部屋にはスピーカーがあり車内放送が聞こえるのだが、上のベッドには少し聞こえづらい。まあ、終点の東京まで乗るのであまり関係はないか。

上のベッドに登った。

シングルツイン個室は車両端にある。この車両にモーターはないけれど、それでも台車に近いところなので、結構揺れるし、ガタンゴトンという音も響いてくる。横になると、体全体でそれを意識してしまう。人によっては寝づらい、というのはあるのかもしれない。

自分のような鉄道マニアは、寧ろこういううるさい席に乗りたがったりするタチがあるので、あまり気にならない。揺れたり音がしたほうが「汽車旅」を感じられて嬉しい!と思う側の人間だから、需要と供給が噛み合っている。まあでも、それを差し引いても、眠たければ普通に寝れる程度かな、と思う。

 

ただ、室内のハンガーはガチャガチャと壁にあたって気になってしまうので、これは外して天井近くの荷物置きに入れておいた。

謎の影

ハンガーを外すと黒っぽく影のような物ができている。

推測だけれど、昼間車両基地で休んでいるとき、直射日光で焼け付いてしまったのだろう。サンライズは1998年運行開始。もう24年目と考えると、若干くたびれたビジネスホテル感が出てくるのも致し方ないところ。

 

横になってスマホをいじっていると、少し長めの運転停車がある。地図を見てみると伯耆溝口という駅らしく、5分ぐらい止まっていたか。

寝そべって見る伯耆溝口の星空。下段と上段の2窓から景色が眺められるのが、シングルツインの一番の贅沢かもしれない。

線路のカーブで列車の方向が変わるたび、窓には月が現れ、消える。月明かりと雲に邪魔されているけれど、ポツポツと星々も見える。踏切や街灯の光がやってきては後ろに飛んでゆく。たまに眩しい光がきらめくのは、多分すぐ近くにあるパンタグラフから発生するスパークだろうか。

そんな、真っ暗できらきらした夜の中国山地を、列車の走行音や揺れとともに横になりながら眺めるのは、なんだか夢のような時間。いや、ホントに寝ていたようだ。気がついたら新見(21:20)にいて、もう岡山県に入っている。

ぼやっと浮かび上がる新見駅

新見を出るとまた寝てしまい、備中高梁(21:48)、倉敷(22:14)は記録も記憶もない。気づいたときには随分と大都会を走っていて、もう岡山駅の手前だ。

 

青いラインの宇野線や、黄色い山陽線電車を見ながら岡山駅に入線。

宇野の213系かな

一旦停車して、また動き出し、止まる。ここで四国・高松から瀬戸大橋を渡ってやってくるサンライズ瀬戸号との連結を行うので、多分その動作だろう。岡山では4分くらい停車するらしいのだけれど、流石にホームには降りず。車内から駅を眺めて待つ。

奥には瀬戸大橋を渡るマリンライナー高松行が見えた。

22時34分に発車。津山線吉備線の車両が集うディーゼルカーの基地を横目に、山陽本線を走り出す。

 

車内探検

このあたりで車内を探検してみよう!と個室の外に出る。個室はナンバー式ロックとなっているので、忘れずに鍵をかけておく。

 

我が2号車は2階建て構造になっていて、真ん中に通路があり、両脇にB寝台の「シングル」個室が並ぶ。車端部には「シングル」の平屋個室と「シングルツイン」個室がある。私の部屋ではないが、「シングルツイン」のうち1室は車椅子対応で、直接デッキに繋がっているちょっと特殊な作りらしい。

2階建ての2号車。通路がメチャクチャ狭く、すれ違いに難儀する。

シングル個室。なぜか1室だけ、終点東京まで空いていた。てっきり満席(満室)だと思っていたのだけれど。

3号車は通路部分は1階建てで、上段・下段に分かれている「ソロ」個室。部屋の中に階段や張り出しがあったり、そもそも天井が低かったりと、結構狭いらしい。

ソロ個室は車内にテーブルがない故か、3号車にはラウンジがある。片側4席の合計8席とあまりキャパはないが、ここに溜まっている人は深夜に至ってもそれなりに居た。

3号車。こっちは満員っぽい?

翌朝のラウンジ。なかなか良い空間。

ラウンジのお隣には、飲み物の自販機やシャワーがある。流石に、岡山を出てからではもうシャワーチケットは残っていない。

自動販売機にはコカコーラ系5種しかないが、車販もないしあるだけ有り難い。
シャワーカードは[売][切][れ]

4号車は1人用A寝台個室「シングルデラックス」と、2人用B寝台個室「サンライズツイン」。いつか乗ってみたいA寝台。

こちらも車内の通路部分に階段はなく、片側に寄っていて窓がある。個人的には、寝台特急の車内ってこういう、通路が片寄っているイメージがあるな…

4号車。「寝台特急」のイメージは、こういう片側に通路がよっている構造。

このさき5号車は、ネカフェやフェリーの座敷席みたいな「ノビノビ座席」。寝台券が不要で安く乗れる号車なのだけれど、個室ではないので、流石に冷やかしで見に行くのも…もう夜遅いし…という気分になってしまい、結局行かず。

 

深夜の山陽・東海道本線をゆく

再びベッドに戻ってうとうとしているが、街明かりと車両の減速で目が覚める。もう姫路(23:33)。JR神戸線の終電(23:17 西明石行)が出たあとで、部屋から見えるホームに停まる播但線(23:33 寺崎行)・姫新線(23:21 播磨新宮行)も終電が出ているので人気はない。

姫路駅。ホームは煌々としているが、とまっている221系電車の車内は真っ暗だ。

重機を載せたトレーラーと並走。ああ深夜…。

次の停車駅は三ノ宮(0:11)、日付が変わってしまった。並行する阪急電車はまだ走っているようだけれど、車内の人もまばらだ。

阪急と併走。マルーンカラーの車体が闇に溶けている。

せっかくなら大阪の夜景は見ておきたい。さっきまで寝ていたからそこまで眠気がないし、横になって景色を眺めながらぼーっと過ごす。ひっそりとした市街地を抜けてゆくと、淀川を渡るところで急に視界がひらけ、梅田のスカイラインの光が飛び込んできた。

ここ、とても好きかもしれない。

光の帯のようだ

橋を渡りきると、うめきた地区の工事を盛んにしているのが見える。黄色い明かりに満たされた工事現場を掠め、減速しつつ大阪駅ホームに滑り込む。

深夜の大阪駅。なんだかぞわぞわする。

大阪は時刻表だと2分停車で、0時33分発。

反対側の部屋だったら、あの大屋根や他のホームもよく見えたのかもしれないけれど、この部屋からは人気のない11番ホームが見えるきりだった。上りサンライズは大阪→東京の利用も便利と聞くので、もしかしたら、大阪から乗った人も居たのかもしれない。

 

ここから先は、明朝の静岡駅までは停車がない。

新大阪を通過。0時を回っているから、新幹線の終電も終わっている。

淀川を再び渡って、新大阪駅が見えてくるけれど、ここも通過してしまう。ここまでで結構寝ていたのだけれど、また眠くなってきた。トイレに行って、また寝てしまうことにしよう…。折角なので、カーテンはおろさずにおく。

 

ちなみに、我が2号車12番個室の最寄りトイレは、貫通路を渡って3号車に入ってすぐのところ。ただ、ここは独立した洗面台が近くになく、ハンドソープも見た限りでは置いていない。基本は車両1両分を歩いて、4号車や2号車のトイレまで行っていた。

特急列車なので独立した洗面台がある。手洗い大事。

で、結局京都に付く前には眠ってしまったらしい。

 

 

この先、Webで調べてみると、米原(1:41-1:43)、熱田(2:36-2:37)、豊橋(3:17-3:19)、浜松(3:43-3:45)とドアが開かない運転停車があるようだ。ぐっすりと寝て記憶がない…とおもっていたけれど、確か熱田で止まったときに目が覚めたのだった。

たぶん熱田駅。歴史ある駅で、結構構内が広い。

どうもやはり、駅への停車時は衝撃・明るさで目が覚めやすいようだ。ああ、熱田か、昔愛知に住んでいたから、懐かしいな…と思って、また寝てしまった。

愛知に住んでいた頃、眠れない夜にサンライズを見に行ったことがある。貨物列車が闇を切り裂いて行き交う中、窓から柔らかい光の漏れるサンライズは特別だった。

 

朝の東海道本線をゆく

そして次に目が覚めたのは静岡駅、2分ほど止まって4時40分発。ここからはまたドアが開く。しかし寝ぼけていて、「ああ、もう浜松かあ…」と勘違い。でもしっかり写真をとっていた。

明るくなりつつある静岡駅、ここは乗降可能。来たことはあるはずなのに、なんだか全く知らない街に見える。

だんだんと日が出てきて眩しくなってくるのだけれど、静岡から先では部屋は北向きになるので、結局またグッスリ寝てしまう。富士’(5:10)も沼津(5:27)も記憶がない。しっかりと目が覚めたのは熱海(5:45)だった。

山にへばりつく建物群、熱海って感じ

シーツがぐちゃぐちゃになっている

熱海~小田原は東海道線が海沿いを走るので景色が良い。海側は東向きなので朝日も見えるはず、ただ部屋は山側だからラウンジに見に行こう…と思ったが、同じことを考える人も当然いるわけで、すでに先客が2人。

結局ドアの部分の窓から相模湾を眺めることにした。相変わらず、根府川あたりはとても景色が良い。そしてサンライズからサンライズを見るという実績も無事解除。

美しい朝焼け。こんどはこっち側の部屋にして部屋からゆっくり見たい。

小田原・平塚・茅ヶ崎と神奈川県の駅を通過していく。もういい加減明るいし、旅の残りも1時間くらいだ。二度寝はせずに景色を見ていることにした。自販機で買った缶コーヒーを飲みつつ過ごす。

エメマン。冷えているのが有り難い。

茅ヶ崎。そういえば相模線も新車E131系が入ったんでしたね。

相鉄線が見えてきて、横浜駅に滑り込む。6時45分、すでにホームにはかなりの人がいて、流石に気まずい。ただ、上段のカーテンは電動式なので、閉めようか迷っているうちに発車してしまった。

そいや今日平日だった。

京浜東北線と並走しながらラストスパートをかけ、山手線が近づいてきて気づけば品川も通過。車窓はもう見慣れた景色で、それが却って不思議な気分にさせる。

横浜を出てからすぐに、荷物のまとめも済ませてしまって、降りる準備は万端。名残り惜しさを感じ始める頃には東京駅の赤レンガが見えてきて、列車は定刻7時8分に東京駅8番線ホームに滑り込む。

案外列車側からも赤レンガはよく見える。駅についてしまう…

 

到着後

通路が狭いので混むと大変、頃合いを見てささっと下車。

さっきまでいた部屋を外から眺める。なるほどこんな感じ、やはり他の部屋と比べて、窓が2つあるのが贅沢な感じだ。

「宿」の外観。車番はサハネ285-3201で、JR東海所属の編成だったらしい。

ついさっきまでこの部屋に…(一応、下段をベッドに戻しておいた)

そのまま1号車の方に向かい、先頭を見に行く。軽く人だかりができていたが、まあ記念撮影程度なら無理なくできる。

お疲れ様でした。

ついでにそのまま歩いて、7号車と8号車の境目の連結部分へ。出雲市駅の時点では「サンライズ出雲」単独だったので、「サンライズ瀬戸」と繋がっている姿をここでようやく拝めた。よくよく見てみると、今回は「出雲」はJR東海所属の車両で、「瀬戸」はJR西日本所属の車両だったらしい。

285-x(0番代)はJR西日本所属、285-300x(3000番代)はJR東海所属となる。車番の書体に個性が出ている。

列車が回送されていくのを待っていても良かったけれど、もうお腹が空いてしまった。駅ナカで早朝営業のお店はいくつかあった気がする。今日はこの後帰るだけだし、ちょっと並んでも美味しそうなものを食べて帰ろう。

さよなら、またいつか。

海鮮丼!結構並んでいた。

 

むすび

初めての寝台特急。寝れなかったという評判を実は聞いていたのだけれど、案外寝れたな…と思っていたが、帰宅後は結局昼寝し夕方。いや、単に旅疲れか。

でも、他では味わえない楽しさが確かにあった。寝そべって、どんどん変化する星空や街明かりを眺め、深夜の人気のない駅に震え、あるいはそんな車窓を眺めてのお酒、なんて、他ではできない体験だろう。

 

サンライズ瀬戸」も乗ってみたいし、東京発にも乗ってみたい。他のタイプの個室も試してみたい。日本最後の定期寝台列車、乗れるうちに味わい尽くしておかねば。

なかなか予約が取れなかったし、もうしばらく走り続けてくれることを願いつつ、また旅費を貯めておこう。

駅前ホテルで駅弁モーニング【ホテルハイマート・2021年末】

久々に18きっぷ旅をしよう、あの列車に乗ってみたい…となんとなく旅のルートを決めれば、次は宿の予約。

自分の場合、こういう時はたいてい駅近のそこまで高くないビジネスホテルを予約サイトから探す。折角なので、面白い宿に泊まりたいよね、チェーンより地場のビジホに泊まりたいよね…という欲望もちょっと混ぜ込んで。

えちごトキめき鉄道の観光列車に乗りたかったので、直江津経由に決めました。

そんな感じで今回は、直江津の宿をどうしようか…そういえば、駅前にホテルがあったような…?と調べてみると「駅弁付きプラン」というのが目に飛び込んできた。ホテルハイマートというらしい。

さすが鉄道の町直江津、ここだなぁ!と思い、クーポンをちゃっかり使って、禁煙シングル"朝食付き"を7400円のプランを予約。楽しみです。

 

www.heimat.co.jp

 

 

チェックイン、ロビーの様子

22年末、会津若松から電車を乗り継ぎ、18時頃についた直江津はすっかり暗い。

ちょうど天気が崩れていたタイミングで雪が降り続いている。ああ…寒いな、と思いながら駅舎から出て、横断歩道を渡ったらすぐにホテルでした。

ああ、ここか~ 前に来た時に見覚えがある…

めちゃくちゃ寒いので、さっさと入りましょう。

駅弁推しなロビー

ホテルのロビー、なんと駅弁の展示コーナーがあります。

実は予約を済ませてから気づいたのだけれど、そもそも、直江津駅の駅弁を作っているのがこのホテル。つまり今夜は駅弁屋さんに泊まるといっても過言ではない…かな。

「駅弁味の陣」の賞状がたくさん!

食品サンプル。おいしそう…

たら、さけ、ほたて、かに、と海沿いらしいラインナップ。

駅ホームでの「立ち売り」用の木箱も展示されていました。

チェックイン時、駅弁朝食付きプランの予約者は、翌日朝に受け取る駅弁の種類と時間を聞かれます。「さけめし」と「鱈めし」の2種から選べて、たらこが食べたいなあ…と思い「鱈めし」を選びました。

 

部屋の様子

すこし奥まったところにあるエレベーターで6階へ上がり、部屋へ。

なんというか普通のシングルホテルの部屋、という感じで、十分に清潔で落ち着く部屋。若干古さはあるか?とも思ったけれど、スマホを充電しやすい様に枕元にコンセントが取り付けられていたりと、最近の需要に合わせてしっかりアップデートされていて快適でした。

普通のシングルルーム。枕元にコンセントがあるのが有難い。

お風呂はユニットバス

キーとメモ用紙が良きローカルビジホ感を出してくる。

明日も一日電車を乗り回す予定なので、お風呂に入ってさっさと寝ましょう。

う~~ん、明日は雨かなあ。

 

朝:駅弁モーニング!

翌朝。まずカーテンを開けて、朝の景色を眺めます。

 

直江津市街地ビュー、西向きの部屋でした。奥の方に海の雰囲気を感じます。どうも、反対側の部屋に泊まれば、直江津駅妙高山がよく見えたようで…。今度泊まる機会ができたら、予めお願いして、駅側の部屋でトレインビューを楽しむのも良いかな。

部屋(621号室)からの景色。ちょっと晴れてて嬉しい。

廊下の窓より。駅側の部屋に泊まればこういう景色が見えるはず。

眠たいですが、もうすぐ駅弁の受け取り時間です。旅行中の早起きのぽわぽわ感とともにエレベーターに乗ってロビーへ。

おお、なんか並んでるぞ!!!

鎮座する駅弁たち。

楽しみ~~!!

ロビーの人から駅弁を受け取って、部屋に持ち帰ります。

朝7時受け取りにしたのですが、ラベルにある調製時刻は朝6時。出来立て!!

 

直江津名物:鱈めし

眠気も吹き飛ぶ。確か6時半から受け取れます。

ちからづよい「直江津名物」

さて、早速いただきます…。

調製時間的には出来立ての駅弁ですが、しっとりと冷えています。(そりゃ駅弁ですからね) 駅キオスクで買っておいたインスタンス味噌汁で、体を温めつつ食します。

優雅な朝ごはん。

鱈めし、ということで、メインは「棒鱈の甘露煮」4切れ、と、「炙り塩たらこ」4切れ。ついでに「鱈の親子漬け」も添えられてます。

寄りで。艶めかしい。

真っ黒な甘露煮はあまじょっぱく、よく煮込まれて骨までホロホロ。塩たらこは中がレア気味で、一番好きな火の通り方。鱈の親子付けはちょっと酸っぱめで、お酒のおつまみ感が強いです。

 

下に敷かれているご飯は地元新潟県産。ご飯の上には錦糸玉子と昆布の佃煮が散らされていまして、もうこの組み合わせだけで美味い。

具の配置図。素朴な見た目ですが、うまみが押し寄せてきます。

………普通に朝ごはんとして食べてしまいましたが、これ、どっちかというと日本酒!!!!おつまみ!!!!って感じです。絶対に合う。

もちろん、単体で食べても美味しかったです。朝からいいモノ食べました、ごちそうさまです。

 

直江津駅弁、近年の変化

直江津駅弁がホテルハイマート産製であることは、この宿泊を機に知ったのですが、そういえば以前から直江津=駅弁、のイメージは強かったです。

改札内に小さな売り場があり、いつもここで売っている印象がありました。

改札内の駅弁販売ケース。
タイミング悪いのかコロナの影響なのか、この日は売ってませんでしたが…。

以前は、ホームでの立ち売りもやっていた気がします。北陸新幹線の長野~金沢間開通(2015年3月)より前、特急列車が直江津駅をたくさん行き交っていた頃です。

この頃は、特急「はくたか」「北越」に、快速「くびき野」、普通「妙高」と、駅弁を食べるのにおあつらえ向きな、座席背面テーブルのついた列車が各方面に走っていました。

2014年・北越急行の赤い「はくたか」 懐かしい…。

現在は、北陸新幹線上越妙高駅の店舗と、直江津駅前の「ドライブスルー」での販売が中心に。ただ、えちごトキめき鉄道が力を入れている観光列車の運行時には、立ち売りを復活販売させている様です。

ビニル袋にも上越妙高駅の文字。ちなみに「山崎屋」は、ホテルハイマートのかつての屋号だそうです。

前述の「ドライブスルー」はホテルから出た歩道沿いにあります。

チェックアウトし、駅に向かう道中、自家用車で駅弁を買いにきた人をちょうど見かけました。駅弁というのも大きな付加価値ですが、それ以前に「駅前ホテルのレストランのお弁当」と考えると、案外いろんな方面から需要があるのかも。

朝日に映える駅弁ドライブスルー

朝のホテルハイマート全景。右下がドライブスルーです。

 

むすび

ホテルハイマート、駅チカで便利でしたし、寝起きの駅弁はなかなか新鮮な体験でした。結局「さけめし」を食べそこなってしまったのですが、こちらもすごく美味しそう。駅弁目当てでまた行く気がします…。

はじめての成田エクスプレス、千葉から半額で。【2022年春】

2022年3月のダイヤ改正

今年もなんか、全体的に絞っていく感じなんだなあ…としんみりしていた中、千葉の住人としてびっくりしたのが「成田エクスプレスの千葉駅停車が大幅増加」だった。

いつも通過していったキミ

成田エクスプレスN’EXといえば、その名の通り都心と成田空港を直結する特急列車である。成田空港が唯一の目的地となるわけで、ほとんどの列車は、県庁所在地の千葉駅や、成田山新勝寺擁する成田駅なんかも容赦なく通過していく。

 

通勤需要も当て込む朝晩の列車は、千葉や成田にも止まるのだけれど、全車両が指定席なので結構なお値段になってしまう。

千葉駅横の橋から。真っ赤に塗られた屋根がカッコよくて好き。

まあなんというか、千葉に住んでいる限りは特に使う機会のない列車、という印象だった。更には昨今の状況もあり空港需要が激減、昼の便は運休しているし、動いている便もだいたいガラガラで通過していくので、見るたびなんとも言えない気分になる。

 

それがこの春から、運休していた昼間の列車が毎時1本は復活し、それらも含めて多くの便が千葉駅に止まるようになるのだ。

おまけに6月いっぱい迄、えきねっとで予約しておくと指定券が半額のキャンペーン中。東京~千葉間で640円なので、平日の快速のグリーン車(780円)よりも安くなる。

 

 

千葉駅の様子

これは千葉駅からしたら一大ニュースである。とにかく広告を打っている。

改札口の柱にも。

改札内にも吊り下げ広告。

いたるところに、圧の強い手書き広告たち。

この手書き広告、千葉駅員さんによる作なのだろうけど、たまに千葉駅ユーザーとしての本音が見えるようで面白い…。

この辺とか、もう千葉駅利用者目線な気がする。総武快速、とにかく混むからなあ…。

 

乗車ログ

さてまあ、せっかくなので安いうちに一度は!と、東京に出る用事があったので乗ってみることにした。

もちろんチケットレス特急券を事前予約。ちゃんと640円でとれました。

スマホで完結するのでとても便利。手元にチケットが残らないのが、マニヤ的にはさみしいところですが。

千葉駅

金曜日、19時24分千葉駅発の成田エクスプレス46号、新宿・大船行き。

この時間の7・8番 総武本線ホームは特急ばっかりだ

7番線に入線、待っている人はかなり少ない

車内の様子

さて、(失礼ながら)もっとガラガラかな?と思っていた。

実際、千葉駅で待っていたホームはがらんとしていて、見える範囲で待っていたのは5人くらい。入国後は隔離があるし、成田空港行きはともかく、東京方面行きの需要もそこまで回復してないだろう…と。でも意外と人が乗っているのだ。スーツケースを抱えている人もチラホラ。LCCのユーザーだろうか?

明るく清潔な車内、椅子に差された赤色がカッコイイ。

座席から。JR東日本らしい、飾り気なくスッキリした特急列車、という印象。

トイレに行くのにかこつけ、車内をちょっとうろついてみる。

横浜方面ゆき編成の2号車から4号車まで、3両で合わせて50人くらい… 1両あたり20人弱という感じか。以前のような状態には戻っていないのだろうけれど、これまでガラガラで通過していく様子ばかり見ていたから、思いの外乗っているなぁ?という気分。

ただやはり、海外からと思しきお客さんは見かけなかった。そりゃそうか。

 

車内天井にはモニタがくっついていて(飛行機とか関西の新快速みたいだ)そこに案内や広告映像が流れている。運行情報とか走行位置案内とか、JRの予約方法なんかも。広告はなんというか「日本の美」「Cool Japan」的な感じで、空港特急の雰囲気が盛り上がる。

天井モニタ。東京駅の構内案内と、外国人向けJR東日本予約システムのご案内。

デッキのところにも同じ情報が流れます。この編成は大船行きです。
横須賀行きとか、小田原行きなんてのもあったのですね。

千葉→東京

NE’Xは総武快速線を駆けてゆく。時間が時間なので、外の景色はあんまり見えない。お隣を走る中央総武線の黄色い各駅停車を、ダイナミックに追い抜いていく瞬間、そこはちょっと面白い。

そういえば、快速線電車の方を追い抜くシーンも観察しようと思ったけど、見逃してしまった。いつもは快速に乗っていて、通過待ちをする側…だったり、あとは、謎に数分間の停車があり「もしかしてこの停車、本来通過を待つNE’Xが運休しているのかな」と見えない存在を感じたりとか、自分にとってNE’Xはそういう存在です。

黄色の総武線と並走。

やはり途中無停車というのは圧倒的に早い。ふと通過する駅の看板を見ると「小岩」をとあり、もう都内だ。

スカイライナーと比較され、高いわりには遅いよ~と言われるNE’Xだけれど、千葉-東京間を途中無停車の25分で駆ける。いつも快速で、千葉東京間40分を移動している身には有り余るスピード感だ。

まあ、空港までで考えると、千葉~成田空港が意外と遠くて、結局東京から空港まで1時間くらいかかるのだけど…。

気が付くと「まもなく東京」

錦糸町を通過するあたりで、間もなく東京、お早めにお荷物を準備ください、と、それなりに大きな音量で、4言語(日英中韓)での案内がある。そうか、大荷物の人も多いから…と空港特急であることを強く感じる。

大きなスーツケース置き場にはナンバーロック完備

「スーツケース置き場の暗証番号をお忘れの場合、お引き渡しは終着駅となります」という地味におっかないことも言っている。この列車なら大船行きだし、中央線方面に行くやつもある。今は運転されていないけど、前は大宮行きとか、富士急線の河口湖行きとかもあったはず。荷物と一緒に連れてかれちゃった人はいるんだろうか?

 

東京駅

総武線の地下区間を走り抜け、東京駅の総武線地下ホーム4番線に到着。

総武地下。よく使うけど、東京駅の中では地味な乗り場かも。

今回は東京駅に用事があるのでここで降りるけれど、もうすこしだけホームに。ここで大船ゆきと新宿ゆきが切り離されるので、せっかくなので見ときたい。

すでに車両間の連絡通路が折りたたまれてます。

ライトが点灯し、ドアが閉まって…

そのまま発車。

サヨナラ~~

実は何度かこのシーンは見たことがあるけれど、「切り離し」と「列車の発車」が同時に行われるため、なんだかちょっとシュール。どうも新宿行きが唐突に置いてけぼりを食らったように感じる。

自分の中で、列車の編成分割というのは「切り離し」→「一旦停止」→「発車」なイメージがあるからかもしれない。

新宿行きも数分後には発車する。ぱっと見、1両5~6人くらいで結構ガラガラだった。

しっかりお見送りを済ませて満足したので、次の目的地へ向かうこととしました。

東京駅コンコース方面のエレベーター沿いにも、NE’Xポスターがたくさん

総武線ホームの入り口。「成田エクスプレス」の案内、いつも使う「機会無さそうだな…」って一瞥していたけれど、ついに乗れたよ!

6月中は特急券半額で乗れるので、もう一度くらい乗っておきたい気がする。今度は明るい時間がいいな。でも、空港に行くのに使う機会は相変わらず無い気がする…また海外行きたいなあ…。

会津若松発、新津行きの最鈍行列車・227D【磐越西線・2021年末】

2021年末。ほんとうに久々の18切符旅行では、福島から磐越西線経由で新潟方面へ抜けていきました。その途中で乗った列車がなんだか印象に残ったので、ご紹介します。

※2022年3月改正前の旅行記です。その後この列車は消えてしまいました…。

 

会津若松

朝8時、ドカ雪から一夜明けた会津若松駅。

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駅前広場の大きな会津若松駅。駅舎は和風の外装です。

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凍える赤べこ

凍り付いたホームの一端に、銀色でカクっとした現代的なディーゼルカーが止まっています。これから乗る、磐越西線227D 普通 新津ゆき。がらんとした車内で、8時14分の出発を待ちます。

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GV-E400という形式名。雪がついています。

この次の列車は、喜多方ゆきが9時57分。新津行きは11時台の快速列車…と、まあローカル線らしく間は空きますが、時間的な問題かお客さんは少なく。余裕でボックスシートを占領できてしまいました。ちょうど巨大寒波の襲来、そして年末、というのもあるかもしれませんが、意外とさみしい。

 

会津若松→喜多方:普通列車の駅飛ばし

発車してしばらく、喜多方までは会津盆地の中を走ります。

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晴れ渡る会津盆地

直線的な線形のこの区間堂島・笈川・塩川・姥堂会津豊川と、わりと細かく駅が設置されていますが、この列車が止まるのはそのうち塩川駅だけ。この列車だけでなく、多くの列車はこの区間で通過運転を行います。別に快速列車というわけではなく、これがこの区間の「普通」の様。

これらの駅は一日、上下ともに5本のみの停車。一方、快速1往復と普通10往復は通過してしまいます。

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堂島駅の通過シーン

かつて長編成の客車列車が主体だった頃に、編成の短いガソリンカーやディーゼルカーだけが止まる短いホームの駅…が、運行形態だけそのままに今も残っているのでしょうね。ちょっと面白い。

ついでに言えば、喜多方までの区間は電化もされていますが、本数は年々減少し、今や1.5往復のみ。地元新聞では電化設備の廃止撤去も報じられていて、まあ仕方ない気もしますが、そういう段階かあ、とちょっと驚きました。

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喜多方駅。ここまでは電化区間、架線柱が立っています。


喜多方~五泉阿賀川と長時間停車をお供に

この先線路は高度を上げ、そのあとは福島-新潟県境の山地を走ります。喜多方から先は五泉までICカードも使えず、ローカル線らしさはより濃ゆく。

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荻野駅あたりで見えた阿賀川ダム湖が漕艇場として使われてました。

やたらとゆっくりな227D

阿賀川(阿賀野川)と並走し、内陸のローカル線らしい雰囲気を感じる景色の美しい区間です。が、手元の「小さな時刻表」をめくってみると、この227D、この区間を走り抜けるのにやたらと時間がかかるのです。

ざっくりまとめてみます。

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赤線で示したのが乗っていた227D。この列車、途中駅での停車時間がやたらと長いのです。そのおかげか、普通列車が2時間40分前後・快速が2時間18分で走り抜けるところを3時間18分も掛けてゆったりと進みます。

ところで、227Dと直接は無関係ですが…上の絵、ついでに高速バスを入れてみました。会津若松-新潟間って2時間切るのですね。磐越自動車道があまりに強い…。

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右が以前新津駅で見かけた「ばんえつ物語」客車。(2013年、リニューアル前だ…)

この区間の名物観光列車、SLばんえつ物語号は若松→新津を3時間15分で走破しますから、227Dは蒸気機関車牽引の客車列車より更に時間がかかることになります。

(もっとも、SLの新津行きは走る時間帯が日没間際で飛ばし気味、というのもあるかもしれませんが。午前中の会津若松行きは3時間30分の運行。)

まあ要は、227Dは磐越西線会津若松発、新津行きの列車で一番のドン行列車だなあと気づきました。下記、長時間停車の風景を交えつつ、沿線風景をご紹介。

 

野沢駅(25分停車)

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野沢駅に停車。駅舎には写真中央の跨線橋でアクセスします。

耶麻郡西会津町の代表駅、野沢駅でまずガッツリ25分の停車。3番線まである結構大きな駅です。特に行き違い列車や通過待ちがあるわけでもなく、ただただ止まっているだけで、この時点では謎の長時間停車です。

これだけ停車時間があれば、駅周辺をいろいろ観察したいところ。が、久々の旅、動き方の勝手がつかめず、ちょっと控えめにホームを見て回る程度にしました。寒かったし。

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パラパラと雪が。銀色の車体は雪の中だと冷たそうに感じます。

野沢駅のお次、上野尻を出るとすぐに立派なダムが見えてきました。ちょっとテンション上がる!

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上野尻ダム。

徳沢駅(9分)

上野尻駅の次(さっきの野沢駅から2つ隣)の徳沢駅で、また9分間停車。新潟-福島県境に位置する駅です。

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徳澤駅。青空が見えました。

この駅で、新潟からやってくる快速「あがの」号と交換を行います。

恐らくですが、野沢駅での理由不明の25分停車、この待ち時間の時間消化も兼ねていたんでしょう。より大きい町の駅で時間を潰す、という意味合いがあるんじゃ?と推測。

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通過する「あがの」は3両編成でした。

快速が通過した後はすぐの発車。新潟県に入ります。分水嶺というわけでもないので、あまり県境を越えた感じはありません。(ただ、川の名前は阿賀川から阿賀野川に変わります。)

このあたり、昔から会津領で、廃藩置県後の一時期は福島県に属したエリア…なので、そういう雰囲気が残っているのかも。話を脱線させると、地理マニアには有名?な飯豊山登山道のヒョロ長い福島県境線、このへんが新潟県に移った影響でああなったのですよね。

 

津川駅(18分)

新潟県阿賀町の津川駅で最後の長時間停車。待合室がちょっと可愛く改修されていて、SLばんえつ物語の運んでくる観光客も意識している感じ。

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雪はやんでいました。

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スプリンクラーの水のかたちに凍る雪…

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待合室。キツネの嫁入り行列で有名らしいですが、ゆるキャラはオコジョ…?

この駅でも普通列車と交換がありました。

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普通列車と交換。こちらの車内はがらんと。

結局、野沢・徳沢・津川の3駅で止まっていた時間が25+9+18の計52分。運行時間が3時間18分ですので、この3駅だけで全体の1/4は止まっていた計算になります。

喜多方駅五十島駅でも2~3分程度止まりましたし、単純に途中駅の停車時間を足していったら1時間以上はいっていそう。まさに鈍行!

 

津川駅を出ると国道49号線と並走します…が、国道のほうは集落が途切れた途端に廃道化。断崖絶壁のなかを磐越西線だけが進んでゆきます。

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廃道だ!!現在の49号線は、対岸の山の中をバイパストンネルで抜けていきます。

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トンネルを抜けても旧49号との並走は続きます。

このあたり、通るのが列車ぐらいで人気がなく都合がいいのか、サルの群れが下りてきていました。ガードロープの柱の上にのっかったり、木の上で枝を揺らしたり。ちょっとびっくり。

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写真がムリヤリ気味ですが、親子猿。

 

五泉~新津:新潟近郊区間に突入

五泉駅から先は新潟近郊区間ICカードも使えます。車窓の家並みも増え、ずいぶんひらけてきました。

県境を越えてからは、地元の方らしき利用もぼちぼち増えていたのですが、五泉まで来ると、これまでと比べ物にならないくらいに人が乗ってきます。混雑度イッキに増してにぎやかに、湿度もちょっと高めに。

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五泉の町。まんなかのオレンジと茶色の「こども広場号」、コレ色的に、かつて走っていた蒲原鉄道がモチーフでしょうね。

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新津駅着。新潟行き電車はすぐの乗り換えでした。

こうなるともうあっという間に新津駅に到着。長い旅がおわりました。惜しむ間もなく、すぐの新潟行き電車が来てしまうので、跨線橋を渡って乗り換えて旅を続けましたが、本稿の乗車記録はここまで。

 

車輛紹介:GV-E400系

さて、最後に乗ってきた車輛のご紹介。最新型の電気式気動車、GV-E400系!

冬場はステンレスボディが凍り付き、ブラックフェイスも相まってどことなく寒々しいですが、しかし力強さも感じる。そこに桃色と黄色のキュートなドット柄を合わせてくるのが、なんだか今風の車両だなあと感じますが、妙に似合うんです。

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角ばっているような、丸っこいような、なんだか不思議な形。

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外観。ピカピカのステンレスボディに、ピンクと黄色のドット柄がお洒落。

淡い黄色・淡い桃色の組み合わせは、新潟地区の主力・E129系電車でも採用されていますから、これが今の「新潟色」なのでしょう。かつて新潟地区の旧型国電がまとっていた、濃い赤・濃い黄色のカラーリングをアレンジした感じで、こういう繋がりの感じられる塗装はなんだか好きです。

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右側がE129系。左側は115系の旧型国電塗装再現車。

車内もまだ新車なのでピカピカ。暖色のシートが冬景色に映えます。窓が遮光シートで青っぽいのも最近の車両の特徴ですね。

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車内。ロングシートと、4人掛け・2人掛けボックスシートの組み合わせ。

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4人掛けボックスシートは1両に3組。

トイレもでかい。長時間乗車には助かります。

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洋式・車いす対応でメチャクチャ広い。

ところで、磐越西線にGV-E400系が入ったのは2020年。それまでは、国鉄気動車のキハ40系列と、JRに入ってから製造されたキハ120が活躍していました。

かつての旅行記や写真を見ると、この227Dにはキハ40が充てられていたようです。長時間停車があるので、追っかけ沿線撮影にちょうどいい?のか、Web検索するとカッコイイ走行写真がたくさん出てきます。

 

新潟地区のキハ40は、羽越本線ですが一度乗ったことがありました。2013年だったかな。このあたりも全部GV-E400系に置き換えられたはず…

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羽越本線の写真ですが、磐越西線でも活躍していたキハ40・キハ47。(2013年)

折角なので国鉄車時代に乗っておきたかったなあという気もします。でも、トイレがでかく、気密性がよいので、新車でよかった!と有難がっておきました。

 

2022年3月改正で…

さて、快速「あがの」の普通列車化があらかじめ発表されていた22年3月改正。

 

この列車は「あがの」を通すために野沢駅+徳沢駅で38分も待たされていたわけで、さあどうなるか。久々に大判の時刻表を買って、確認してみました。

すると、磐越西線のこの区間はけっこう変化があります。同じ列車番号の新227Dは、若松9時48分発→新津12時26分着となり、2時間38分で走破。若松~喜多方間でも各駅に停車するので停車駅は増えますが、なんと40分!も大幅にスピードアップ。

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もう、停車時間に写真撮って遊べないね…。

いや、時間が変わってるんだからそのまま比較はできないな、と、自分が乗った227Dに相当する8時14分発の列車を確認してみる。こちらは一本前、225Dとして野沢駅止まりになっていました。そうか、途中駅で切られちゃったか…。

さらに、若松で9時48分の新227Dを逃すと、次の新津まで行ける列車は14時台の231Dに。5時間弱も空いてしまいます。

 

アシの遅い旧型が引退し、ダイヤも合理化されて、ローカル線の長閑なドン行列車は姿を消してゆくのでしょう。やっぱり、途中下車しておけばよかったな…。

柳都の赤い連接バス【新潟交通 萬代橋ライン (2021年・年末)】

新潟駅は随分様変わりしました。以前来たのが2012年(思いの外前だな?)そこからホームが高架化し、万代口駅舎が解体され…今も絶賛工事中。

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駅舎がない…

バスの運行形態もかなり変わったようで、真っ赤な連節バスが導入されてBRT(Bus Rapid Transit)を名乗り、走り始めた…というニュースは聞いていた。ずっと気になってはいたのだけれどなかなか訪問の機会がなく、その間にも色々と変化があり…2021年の年の瀬にようやく訪問できた。

 

 

新潟駅前(万代口)のりば

ずいぶん小さくなってしまった仮設万代口から、バス乗り場に向かいます。

新潟駅万代口のバスターミナルは無骨な上屋のある立派なものでした。バックで駐車するのはなかなか手間そうだけれど、こういうターミナルはなんだか好きです。一斉発車とか見ていてワクワクしました。

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ゴツい屋根と鉄柱!かっこいいな…

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2番のりばから13番のりばまで、計12レーンあってかなり大規模です。

ただ、連節バス含む、にいがたBRT・万代橋ラインはここからの発車ではなく、近くのロータリーに乗り場が整備されてます。今後工事が進めば、駅の下にバスターミナルが集約されるようで、今はまだどことなくアッサリ(?)したようにも見える雰囲気の乗り場です。カラーコーンが多くてそう見えるのかもしれない。

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丁度連接バスが来てました。前述ののりばになかった「1番のりば」が、ここらしい。

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発車案内はしっかりしていて、ちょっと鉄道っぽい。

万代橋ラインは昼間6本/時間程度運行されていますが、連節バス「ツインくる」が充当されるのは「快速」の扱いで、1時間1~2本程度がやや不定期に発車。ちょうど快速の出発間際だったので、周辺観察もそこそこに乗り込みます。

新潟のICカードは「りゅーと」というブランドですが、Suicaもちゃんと使えました。

2段ほど高くなっている最後部座席に座ります。空席はぼちぼちありますが、そもそも収容人数が多く、またバスが頻発していることを考えると結構乗っているなーという印象。

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最後部座席に。バス内の雰囲気を見渡せるので好き。

「快速」ということで、いくつかバス停を飛ばしていきます。中心市街地ではわりとこまめに停まりますが(運行開始当初はもっと少なかったよう)そこを抜けるとガッツリ飛ばす感じ。運行ルートは青山ー新潟駅間で、新潟交通電車線(1999年全線廃止)の東青山ー白山前、と、未成に終わった新潟駅方面への延伸計画をトレースするようなルート設定です。幻の路面電車に思いを馳せながら…

 

新潟駅~万代~古町~白山

万代シテイ停留所で早速新潟方面ゆきの連接車とすれ違いました。連接車は4台いるようですが、このとき確認できたのは2台だけ。

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すれちがいシーン。

このあたりは、なんというか大きなショッピング施設もあり、駅前よりも栄えている印象です。古くからの中心市街地とも重ならず、バスセンター前町とでもいうべきエリアでしょうか。

そういえば、万代シテイバスセンターには時間がなくて寄り損ねました。カレー食べたかったんだけど… またお散歩に来たいです。

 

萬代橋信濃川を渡ります。一気に空が開けて爽快

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萬代橋。もともとは路面電車を通すために広めに作られています。奥にかかっているのは柳都大橋。

信濃川を渡ると、新潟の旧来の市街地である古町エリア。こまめに停車していきます。もともと、ややこしかった中心市街地への乗り入れバス路線を整理・統合することを目的として誕生した路線ですので、バス車内のモニターには支線系統への乗換案内が、発車時刻・バス停の位置、と丁寧に示されます。

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バス停の位置が地図で示されます。

公園が整備された大きなカーブを曲がると、市役所前停留場。大規模なターミナルが整備されています。

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気になる大きなカーブ。この写真の(見えていない)右側に、かつて電車線の駅がありました。

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しっかりした屋根・風よけ付きで立派。道を挟んで反対側にロータリーも整備されています。

もともと電車線時代、ここから燕市の方まで大型の電車が走っていました。しっかりしたターミナルもその流れでしょうか。

当時の駅舎(県庁前駅→白山前駅)は解体済みですが、公園のトイレが丸みを帯びた優雅な形状で、どうもかつての駅舎をモチーフにしているようです。

 

白山~青山

ここからしばらくは、かつて電車が路上を走っていた区間となります。といっても、至って普通の…2車線道路です。ここを大型電車、晩年は元小田急の電車なんかが走ってたんだなあ、というのも、今となってはちょっと想像しづらいです。

当時の電車線を再現したカラーのバスも走っているみたいです。これは見てみたい!

kaboden.jimdofree.com

 

車内から、特に自分は最後部の数段高くなった座席に座っていたので、ずいぶんと狭い道をギリギリで進んでいくような雰囲気を感じました。

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電車時代の目線に少し近い…のかも

実際のところはものすごくギリギリ、というわけでもないですが、それでも連節バスが走ってくるのは迫力のあるエリアです。連節バスが運用される快速便は、このあたりのバス停は基本的に通過します。流石に、乗降扱いをするには狭いんでしょう。

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すこし古めの市街地です。

一方で、各停留所に止まる便はこの辺もこまめに停まります。こちらは見た目、普通の新潟交通バスで、顔のところにオレンジのBRTマークが差し込まれているのが目を引きます。

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各駅停車便。オレンジ地に白色のBRTのマークがつくのが特徴です。

各駅停車タイプは、通りから一本折れたところにある白山駅前のバスターミナルにも乗り入れます。しっかり屋根付きで整備されているのが雪国らしさ。

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バス通りからちょっと飛び出して、駅に乗り入れます。

バスは越後線のガーター橋をくぐり、関屋方面へ。

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新潟市中心部の越後線の橋は(ここに限らず) なんだか華奢でドキドキします。

この先で、かつての電車線は道路上から専用軌道区間に移っていたはず。電車線時代と同じ「東関屋」というバス停もあります。(BRT快速便は通過しちゃいますが)

 

関屋分水路を渡ります。先に萬代橋で渡った信濃川の分水路です。

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よくよく考えると、信濃川と関谷分水路に挟まれ、日本海に面する新潟市街地って「島」なんですね。

橋を渡りきるとイオンがあり、ここが終点「青山」。イオン併設のバスターミナルというのがイマドキな感じがありますが、BRTと支線との乗り継ぎ拠点ですので、ついでに買い物を…というのに便利そう。

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青山につきました。

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新潟駅から青山まで、210円。割とお安い?

青山停留所周辺

さて、到着したバス停の付近を見回すと…淡い緑色の、立派なガーター橋が見えます。

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車内からも見えます。気になる!

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ゴツくて淡い緑、よいとしか。

近づいてみると登る道があり、上はサイクリングロードになっていました。ここがかつての、新潟交通電車線廃線跡なんですね…

下の写真で中央、橋を渡りきったあたりにかつての東青山駅があったらしいです。

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登ってみました。

BRTと電車線、あらためてその近さというか…感じました。

 

帰りのバスもイオンの横から。

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歩道・屋根・バスターミナルが一体化しています。ある種の雁木? 冬のバス待ちには少し寒そうな雰囲気。

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発車案内もしっかり。

大きなディスプレイに出発案内が出ています。ここから新潟駅まで、だいたい、一般便で30分、快速便で26分となっています。一緒に上越新幹線の案内が出ているのが面白い。東京を見据えています。

 

むすび

いまのところBRTとはいいつつ、専用走行路も車外改札もありません。海外で導入されている都市型のBRT・あるいは三陸海岸の鉄道線を改築したBRT、のような雰囲気というよりかは、しっかりと(政策的に)整備したバス路線、という印象です。

それでも頻発していて、バス停もしっかり整備されているので、使いやすくしつつ、運転手不足への対応も…ということはできているのかな、と思います。(もちろん、乗り換えが増えた、等の課題はあると思いますが)

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この〇BRTマーク、シンプルで好きです。

そのうち専用レーンが設置されて…優先信号も…というのは妄想しちゃいますが、まずは新潟駅から南、スポーツ施設等がある鳥屋野潟方面への延伸が、新潟駅の整備と合わせて計画されているようです。また変化があったら、理由をつけて乗りに行きたいと思います。

(写真:Ricoh GR-iii, Google Pixel 3a)

 

強運の国鉄急行型【えちごトキめき鉄道413系・455系 (2021年・年末)】

えちごトキめき鉄道”は、北陸新幹線の開通に伴い、新潟県内の並行在来線の運営会社として設立された第三セクター鉄道。2015年3月以降、旧信越本線の「妙高はねうまライン」と、旧北陸本線の「日本海ひすいライン」の2路線を運営しています。

なんというか、すっげえ独特なネーミングセンス…と思っていましたが、さすがに5年6年経つと自分の中で何となく慣れて(?)きました。トキ鉄、なんてかわいい略称で呼ばれたりしています。

 

そんなトキ鉄が2021年に新たに導入したのがなんと国鉄型車両、413系+455系!マジですか!とずっと気になっていて、冬の帰省にかこつけて、ようやく乗りに行けました。

 

車両来歴

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妙高高原駅にて。最初ニュース聞いたときにびっくりしました。

もともと七尾線、その前は新幹線開通前の北陸本線で走っていた車両です。特に、455系(クハ455形700番台)は、国鉄急行型電車の最後の生き残り…。413系も急行型改造の電車で、富山に数編成残っていますがこれも貴重。

 

そういえばこの電車、2014年の3月に北陸を旅した際にじつは一回乗っています。当時は正真正銘の急行形475系も現役で、しかしそちらには乗れず心残り…なんて思っていました。

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クハ455-701(先頭車) 実際に乗りました。お久しぶり…。

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で、上の電車に乗っているときに、トキ鉄に来たのと同じ車両(モハ412-6・クモハ413-6)ともすれ違っています。君たち7年後、新潟で一緒に仕事することになるんよ。

その後新幹線が開業し、455形700番台は真っ赤に塗られて七尾線に転属。まだ急行形が残るんだなあとちょっと嬉しかったのです。結局、引退まで会いに行けませんでしたが…というところで更にトキ鉄へ転属のニュース。もうびっくり。

 

トキ鉄の現社長は、千葉県のローカル線、いすみ鉄道で社長を務めていた時にも、国鉄気動車キハ52)を導入したりしていた人です。

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いすみ鉄道キハ52。そういえば、この車両は今のトキ鉄糸井川駅から分かれているJR大糸線の出身でした。

つまるところ、JRで不要になり安く買えるけれど、貴重な国鉄型を走らせてマニアを呼び込み、地域と会社にお金を落としてもらおう…という作戦で、私はまんまとハマったわけです。(楽しい)

 

車両の紹介

トキ鉄に転属したのは413系3両編成と455系が1両。うち413系1両が編成から外され、代わりに455系がくっつけられています。外された413系直江津の「D51レールパーク」で展示されているようですが、今回は未見。

クハ455−701

おそらく日本最後の現役・交直流急行型電車となってしまったクハ455-701。

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一番の目玉?急行型のクハ455。ヘッドマークは日によってランダムです。くずりゅう、は米原~金沢を走った急行で、今の特急しらさぎの先祖。

急行型といいつつも、通勤列車向けに改造されて運用されていたので、ロングシート席があったりつり革がついたり…と、かなり手は入っています。中間改造車なので、運転台も後からついたもの。

 

先頭にはヘッドマークが日替わりで掲示されます。これが列車名というわけではなく、鉄道ファン向けのサービスです。

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車内の雰囲気。

車内は真ん中に8箇所のボックスシートと、車端側にロングシート。どちらも、普段の土日運用では指定席扱いになっていて、一日中乗り続けるツアーや食事つきツアーなんかに使われています。(ツアーの予約がなければ座ってOKらしい)

 

クロスシートには大きなテーブルが設えられています。テーブルで着座方向が制限されるので、直江津発の列車でのみ、進行方向を向いて座れます。

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テーブルはかなりデカいです。運用中はずっとこのままみたい。

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JR時代の車内(2014年3月)。トキ鉄に来てからも、ツアープランが出来るまでしばらくは机がなく、こんな雰囲気の車内だったみたいです。

ロングシート部にも長机。ここもツアー向け指定席になります。

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折り畳み式の木目調の机。学校っぽい。

急行型らしさを残す部分としては…

まず、トイレ・洗面台付き。ちゃんと使えます。バリアフリー対応様式便座のある最近の電車と比べると、めちゃくちゃ狭いです…が、それでもあると嬉しい。

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車両の端っこに、こじんまりと。狭い。

ドアが車両の端っこにあり、窓がずらーっと並んでいるのも、ドアが片開き式なのも急行型の名残。

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デカい窓が連続して設けられています。

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左:413系、2枚両開き扉 / 右:455系、1枚片開き扉

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車端部の天井には出っ張りがあります。デッキの仕切りの名残でしょうか?

また、行き先や種別・指定席案内・号車なんかの案内が金属板(サボ)なのも、急行型(というか、国鉄型)らしさでしょうか。

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サボの列車名について。
急行ひめかわ、は、新潟~糸魚川/青海を越後線経由(!)で結んでいました。 
快速赤倉、は、急行赤倉として名古屋~新潟を長野経由で結び、その後長野県内各地と新潟を結ぶ急行になりました。長野~妙高高原間が快速扱いだったので、それがモチーフでしょうか。
どちらも、雰囲気作りの為で、実際の列車名は「急行X号」とシンプルです。

 

モハ412−6 / クモハ413-6

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こちらにはヘッドマークはつきません。

 

直江津側2両は急行型の車体を載せ替えた列車です。2両ともモーター付きなので、国鉄型らしい走行サウンドを楽しむならコッチがおすすめ。日本海ひすいラインの長大トンネルを高速で突っ走るときのウルサさケタタマしさといったら、もう最高…。

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中間者のモハ412‐6にはパンタグラフがあります。2ドアですが、ドアが車体中央寄りに作られていて、通勤輸送を意識したつくりになっています。

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モハ470-7 と書かれたハシゴが車内にありました。モハ470…は、413系の車体更新前の形式。意外なところに名残が。

 

どの車両も、車内の掲示物は基本的にJR西日本時代のままですが、中吊り広告等は国鉄時代のものに差し替えられています。この辺のスタンスは、先行事例(というかトキ鉄現社長の前職)である、千葉県いすみ鉄道国鉄型キハ28・52と同じです。

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掲示類はJR時代のものを引き継いで使用しています。路線図も七尾線時代のまま…で、これは保存資料的意味合いでしょう。

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国鉄時代の中吊り広告。東京発の観光ツアーや、ビジネス客向けの特急増発案内、自動券売機の案内、などなど。首都圏に掲載されていたモノでしょうか?

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圧が強い

 

運行形態

妙高はねうまライン(旧信越本線)の快速1往復、日本海ひすいライン(旧北陸本線)急行2往復があり、基本的に土休日運行です。急行については平日運行があったりしますし、またツアー臨時列車でも走ったりしているようで、観光列車がメインですがいろいろ活躍しているようです。

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窓が連続する、急行型らしい455。

また土休日運行では、455形は、クロスシートロングシートともに事前申し込み制プラン向の指定席車両。もっとも今回の訪問時は、ツアープランの設定がなく全車自由席扱いでした。年末の休日ダイヤ期間だからでしょうかね? 

その旨放送はありましたが、表記類で指定席であることをかなりアピールしてくるのでちょっと混乱しました。

 

乗車ログ:◆臨時快速(直江津妙高高原

まずは妙高はねうまラインの臨時快速に乗ります。観光放送などもなく、至って普通のいつもの電車に国鉄型が充当されていて…という雰囲気。

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直江津駅6番線発。ナチュラルにいますね

直江津駅6番線を8時43分発→妙高高原駅9:37着、妙高高原駅9:44発→直江津駅10:35着のダイヤとなっています。ちなみに、東京から当日発だと、朝8時台には直江津駅にたどりつけません。(私は直江津駅前に前泊しました)

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むかい5番線ホームにほくほく線車両が来ました。

まあ、余裕で座れるくらいの混雑です。どの車両乗ろうかなと迷いましたが、全車自由席という放送があったのでとりあえず455形へ。テーブル付きのクロスシート席に余裕で座れました。

おすすめの席は、直江津発なら進行方向右側、妙高高原発なら進行方向右側。雄大妙高山を順光で望めます。

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冬の頸城野。奇跡的に?晴れました。奥には妙高山

ふだんはこの区間ロングシートのET127系での運行ですから、クロスシートに座ってゆっくり景色を眺められるこの列車は貴重です。

 

臨時”快速”としていますが、これは以前は直江津駅二本木駅で運転していた普通列車を、土休日のみ妙高高原駅まで延伸し、北新井駅春日山駅を通過扱いとしたもの。

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通過される春日山駅

もっとも2駅通過しても、特に平日の普通列車と運行時間が変わりません。どうしてこういう設定としているのかよく分かりませんが…(急行型の間合い運用の快速、というマのを再現したいのかも)

流石にこれは不評なのか、来年のダイヤ改正では春日山停車に。

 

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JR時代(~2015)の快速も春日山は停車していました。

まあそれはそれとして、快速運転大好物のいちマニアとしては通過シーンを堪能しておきましょう。

 

車窓には田園風景、冬場なので一面の雪原が広がります。新幹線との接続駅である上越妙高にとまり、北新井を通過して新井にとまります。新井駅では、列車行き違いの為すこしだけ停車時間があり、外に出てみました。

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♢雪 の標識は除雪車の停止位置でしょうか

新井駅は、今でも特急「しらゆき」や、北越急行ほくほく線から直通してくる超快速「スノーラビット」の始発/終着駅になっている、わりと大きな駅です。かつては快速「くびき野」もこの駅発着でした。そういえばJR時代に一度だけ降りてみたことがあります。

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2013年8月の新井駅。右が183系・189系の「妙高」、左が485系の「くびき野」。新幹線が開業する2015年3月まではこんな、国鉄特急型が行き交う風景が日常でした。

 

そして二本木駅。ここはスイッチバック駅になっています。

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雪除け。

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外からみるとこんな感じ。ちょっとかわいい。

妙高高原駅ゆきの列車は、まず雪よけの中で停車し、そのままバック走行で駅へ。駅に停車して、そのまま妙高高原に発車していきます。(直江津行は逆パターン)

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線路わきで「推進停目」の文字がピカピカ光っています。スイッチバック用の停止位置目標ですかね。

二本木ー関山間では雄大妙高連山を望むことができます。ちょうど、数年に1度クラスの寒波が来た翌日。新雪に快晴、最高でした。関山から先は更に山深くなり、こちらもなかなか良い景色。

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妙高連峰。新井~関山間で、特に開けてよく見えます。

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関山~妙高高原間はもう雪と森と… 大規模な雪除け?もありました。

 

妙高高原駅では7分停車し、折り返します。停車中は絶好の撮影タイム…

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雪国では欠かせない、手押しの除雪車と。

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しかし、この形式の電車が国鉄/JR時代に妙高高原まで来た経験って、多分ないですよね

あいにく臨時列車ですので、乗り換えられる長野方面の列車はありません。本当は国鉄型・しなの鉄道115系とのコラボをちょっと期待してました。

帰りは413系にのり、走行音を堪能しました。こんな良い天気なので、沿線には写真撮影勢も多いです。たしかにこれが撮れたらめちゃくちゃカッコいいだろうな、、

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撮影勢の姿もちらほら

ちょくちょく見かけるのが、雪に埋もれた踏切。

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寒そう

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道が完全に埋もれている

豪雪地帯の割り切りとして、冬場は通行止めにしてしまうのでしょう、それでも変わらずカンカン鳴動している警報器が、なんだか健気…。

 

上越妙高駅では新幹線の接続があるのか、一気に人が増えてきました。ボックスシートからロングシート部に移ります。高田では、ほくほく線からの直通列車が遅れていて少々長めに停車し5分遅れ、全速力で走って直江津には4分遅れで到着。

車内清掃がありドアが閉まるため、一旦外に出て、急行1号の時間を待ちます。

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到着。1番線着ですね。

もう一つの国鉄型快速

完全に余談ですが、トキ鉄を走る国鉄型の快速列車は他にも。

JRから乗り入れてくる新潟発の快速が115系です。前夜にお試しで乗ってみました。JRからの直通だからか、トキ鉄の切符販売を兼ねた車内検札があったりします。

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こちらは快速といいつつ、はねうまライン内は各駅に止まります。

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北陸新幹線開通前(~2015/3) は115系ばっかりでしたが、今はもう1往復だけに。この列車も22年3月改正で無くなります。

 

乗車ログ:◆急行1号・2号・3号

快速の運用が終わると、今度は日本海ひすいライン(旧北陸本線)での急行運用に入ります。こちらは先の快速とは異なり、観光列車としてしっかり観光アナウンスが入ったり、物販が来たりします。

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「急行」の行き先表示がカッコいい。白地に赤文字ってのは少し珍しいかも。

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1番線の先端には、国鉄風?の駅名票が設えられていました。

1号・2号は直江津ー市振間を運行、3号は直江津糸魚川間です。途中駅で15分程度の停車時間があったり、景色のよいポイントでは徐行をおこなったりと、急行と言いつつノンビリとした雰囲気。というか、「この列車は、急いで行かない列車、略して急行列車です」なんて放送がありました。自分で言っちゃうんだ、、、

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ちなみに、クハ455の誇らしげな「急行」方向幕はシールで再現。
案外ぱっと見それらしく。もともとここに方向幕は存在せず(氷柱で破損してしまう懸念があったため)先頭車に改造された時からずっと埋められていました。

 

まずは乗車券・急行券の拝見。今回使用したフリーきっぷ「トキ鉄ツアーパス」には急行券も含まれているので不要ですが、窓口で硬券を買っておいたので、入鋏をしてもらいました。また車掌さんは補充券も持ち歩いているので、頼めば売ってくれます。私も1枚記念に購入。

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こう、色々用意されると切符好きは買いたくなっちゃいます。他にもバリエーションがあるので沼。

車掌さんのあとに続いて、乗車記念カードの配布があります。このとき車内販売のカートも一緒に回ってきます。

車内販売はこのあとも一度来て、記念にヘッドマークをあしらったマグネットシートを買いました。お布施お布施… 車内販売では鉄道グッズ以外にも、飲み物やお菓子なんかも売っていて、正統派?車内販売の雰囲気。

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いろいろ回ってくるのが観光列車らしさ。

そして、なんと「神社」が回ってきて、よければお賽銭をおねがいします、と。

まあ要は、動態保存的なこの運行に対する寄付のお願い、なわけです。推しへのお布施、を、ガチのお布施にしちゃうのが面白いところ。455形にちなんで455円入れておきました。

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乗車記念証(上段)と、神社のお札(下段)。いちばん左は裏面を出してます。何回も乗ってるからどんどん増える。

お賽銭をすると、これまたお礼の御札、としてカードをいただけます。カードの裏面が昔の中吊り広告になっていて、コレクション欲をそそられます。

 

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この日の蒐集物いちらん。まあ少ない方だと思うけど…。

実際、455形もたいがい長生き、かつ、ある意味では運も強い…ので、ご利益あるのかも。

 

終着駅に着く前には、方向幕回しの案内が入ります。車両側面の「直江津」「糸魚川」と掲示されている部分のシートがくるくるまわり、「かつてこの列車が走った北陸本線の駅名が現れます」と。いまの電車はLEDによる行先表示が主ですから、なかなか見られなくなった光景です。マニアはみんなカメラを構えて、動画に写真に、、僕も毎回見てました。

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いろいろ出てきます。トキ鉄で初めて設定された行き先である「妙高高原」「市振」はさすがになく、左下のように真っ白な行先でした。

随所で案内放送が入り、また写真撮影のための停車があったりします。時系列順で書くとクドくなりそうなので、沿線で印象的な部分を下記、直江津糸魚川→市振の順でまとめてみます。

 

直江津糸魚川(1・2・3号)

直江津駅

1番線からの発車。ちょっと離れたところにあるホームです。JR時代にも、北陸本線富山方面の列車はここから出ていたので、前にも見たことあるな!という雰囲気。

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無骨なホーム屋根がかっこいい。リゾート列車の「雪月花」と観光列車ツーショット(むりやり気味)

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JR時代(2014年3月)。北陸方面への列車はこのホームから出ていました。

急行1号では、出発してすぐ貨物列車とすれ違いました。日本海ひすいライン、貨物列車はそれなりの本数が長編成で走っています。

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よくみたら機関車が寝台特急北斗星カラー。

谷浜駅有間川駅

このあたりは海岸線沿いを走ります。

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冬の日本海

長野県の北の方の住人は、このあたりのビーチに海水浴にやってきます。長野市で育った自分にとって、このあたりの駅名、名立・谷浜・能生…は、潮の香りと一緒に染み付いている地名。

 

小学校低学年ごろの思い出で、海水浴場から白地に青ラインの電車が見えた、というのを未だに憶えています。改めて地図を見ると、谷浜駅前に海水浴場がありました。ここに家族で来ていたんだろうな~。

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有間川駅。水たまりと借景で、海の上みたいな写真に。

有間川駅は、うまく写真を撮ると駅舎を通して海が映る、、というので有名らしく、案内放送がありました。海は国道を挟み、すぐそこです。

 

名立駅

2号ではこの駅で15分くらいの長時間停車がありました。ただし「車外には出られますが、改札からは出られません」とのこと。時刻表にも記載がなく、運転停車扱いでしょうか。

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名立駅。2号のみの停車で、駅からは出られません。

長大トンネルに挟まれ、駅の下に川が流れているのが印象的な駅。

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名立川をホームがまたいでいます。奥の橋は北陸自動車道

こんなロケーションになったのは、地すべり対策で大規模な線路の移設が行われたから。このあたりの旧線はサイクリングロードになっています。むかしこのあたりには、よく海水浴で来ていたのですが、海水浴場から山にへばりつくような不思議な道が見えたのを覚えています。あれが多分北陸本線の旧線だったんだろうな。

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待合室より

糸魚川方面のトンネルは頸城トンネル、JR以外の路線では一番長くて、11,353mもあります。

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頚城トンネル。後述の筒石駅はこのトンネル内にあります。

 

筒石駅

その頸城トンネルのなかの駅、筒石駅。徐行気味に通過します。びー、びーと警報音が響いていたり、ホームとは別に横穴があったり…なんだか異界のような雰囲気の駅です。

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徐行してくれます。ちょっと怖い。

「トンネルの中の駅は全国では5駅しかなく、珍しい」と放送での紹介がありました。5駅、どこだろう。たぶん山岳トンネルのことだから、上野駅の新幹線ホームとかは省くとして、、この筒石と、上越線湯檜曽・土合、ほくほく線の美佐島、あと1つ、どこだろ?(調べたら、たぶん野岩鉄道湯西川温泉駅ですかね)

 

能生駅

1号・3号は能生駅で15分ほど停車あります。こちらも「車外には出られますが、改札からは出られません」という扱い。

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3号。すっかり曇って、雪の北陸路。

なんとなく、能生騒動を想起させます。

国鉄時代に特急が止まることになり、街をあげて盛大にお祝いをして特急を出迎えるも… 実のところは、運転上の都合で停車しただけで、ドアを開けずに走り去っていった、というエピソードのある駅です。

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色々写真撮っちゃいましょう。

名立で長時間停車する急行2号も、なぜか能生で2分だけ停まり、しかも無常に「すぐの発車ですので車内でお待ち下さい」なんて放送があります。運転の都合なのか、それともやっぱり能生騒動を意識してるんでしょうか?

 

先頭車両から降りようとしたら、雪。

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降りられない!

気づいた駅員さんが慌てて雪かきをしてくれました(ありがとうございます)。普段止まる列車は長くて2両編成ですし、ちょっと予想外、という感じでしょうか。

反対ホームに行って写真を撮っても余裕なくらい時間があります。

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1号。このぐらいの時間から、だんだん曇って冬の北陸らしくなりました。

デッドセクション

電源の切り替えがあるため車内少し暗くなります、という放送があり、梶屋敷駅糸魚川駅間の交直デッドセクションを通過します。

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消灯!動力となる電気のタイプ(交流電力・直流電力)の切り替えポイントで、この場所では電気の供給がなくなるため非常灯以外が消えます。

明るい時間の便だと、あー消えているなあ、くらい。

第三セクター化にともない、普通列車がすべてディーゼルカーになり、こちらは(そもそも架線からの電気で走らないので)電源切替の影響を受けません。これを体験できるのはこの急行だけでしょうか。

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JR時代(2014年3月)。夜の列車は分かりやすく暗かったです。

このデッドセクションのすぐそばに、最近新駅「えちご押上ヒスイ海岸」駅ができました。(あ、だからいまは「梶屋敷ーえちご押上ひすい海岸 間のデッドセクション」になるのか…)

電車時代は、うっかりデッドセクション内で止まってしまうと動けなくなるため、安全を考えると駅を作りたくても作れなかった、とされています。全車ディーゼルカーの今なら特に問題ないのでしょう

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長くて2両編成のディーゼルカーが止まるだけの、コンパクトな駅です。

それにしても、会社名・路線名・駅名を「えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインえちご押上ひすい海岸駅」って繋げると、とても長くなり寿限無のようです。

 

糸魚川駅

3号はここで終着駅。1・2号では糸魚川駅は途中駅ですが、ここでも15分程度の停車時間があります。撮影・観察タイム!

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新幹線も止まる糸魚川駅。立派な橋上駅舎があります。

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駅の時刻表にも「急行」が赤字で誇らしく。

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急行3号は糸魚川終着。駅に着くと入れ替えがあります。

また、駅舎アルプス口には、マニアが無限に時間を潰せそうなスポットがあります。大糸線キハ52とか東洋活性白土の蒸気機関車とか、トワイライトエクスプレスの再現モックアップとか、鉄道模型ジオラマとか鉄道グッズの展示とか…いろいろあります。

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駅からのびる専用線で活躍していた、東洋活性白土2号「くろひめ号」。日本最後の実用(産業用)蒸気機関車

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寝台特急トワイライトエクスプレスのレプリカと、大糸線で活躍したキハ52の実物(キハ52は、スペース的に全体を写真に写せません)

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糸魚川駅周辺を再現した鉄道模型ジオラマ。ほかにも行き先案内とか、プラレールとか鉄道グッズとか、とにかく色々あります。入場無料。

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外には、かつてあったレンガ造りの車庫の一部が保存されています。暖かい時期は、先ほどのキハ52を外に引っ張り出して展示したりしてるようです。

私も3号で糸魚川に着いてからざっくり見ましたが、これは危険ですね!帰れなくなるやつ。またじっくり見に来たい。

 

糸魚川ー市振(1・2号)

急行1号・2号は富山新潟県境ちかくの市振駅着・発の運行です。

・姫川橋梁

ヒスイでおなじみ?、姫川を渡ります。糸魚川駅で乗り換えられる大糸線は、この川に沿って長野県まで登ってゆきます。

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海側車窓。奥の方のウェーブしている橋は北陸新幹線

・親不知子不知

天下の険、親不知子不知。親不知駅付近では、国道8号北陸自動車道が海にせり出して通されていて、自然の、そして交通の凄まじさを感じる景観です。

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鉄道・国道・高速道をギュッと濃縮。

JR北陸本線時代に一度この駅に訪れています。波の音に車の音に、すごいところ。逆に、駅舎や近くの集落は静かで、なんとも不思議な空間でした…。

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JR時代(2014年3月)。赤色の特急列車が懐かしい。
背景のうるささが地形のヤバさを感じさせます。

線路は駅の部分だけ顔を出していて、その前後はトンネルで抜けています。本当に険しい地形です。

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直江津方面(2014年撮影)。断崖絶壁、取り付く島もなし。
かつてはここを歩いて抜けたんですね…。

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親不知駅の前後は長大トンネルになっています。

市振駅

あいの風とやま鉄道、と、えちごトキめき鉄道の境界駅、市振。ディーゼルカー普通列車富山県側の泊駅まで直通しますが、急行はこの駅で折り返し。

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この先にある「境川」が富山・新潟県境。

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業務用の電話ケースに、青いJRマークがまだ残っていました。

駅の海側にはものものしい柵があり、海が見えづらいですが… あの柵の向こうはすぐ海岸線、これがないと荒れた日本海の大波をモロに被ってしまうんでしょう。

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構内踏切脇から。海側の柵が物々しい。

無人駅ですが、立派な駅舎。財産標にはなんと「明治41年」の文字…つまり1908年竣工ですから、もう100年以上使われています。鉄道開通(大正元年/1912年)よりも前から工事拠点として使われていた、歴史ある駅舎です。

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市振駅舎。しっかりした駅舎です。
NHKシールがあるってことは受信料払っている(いた)んでしょうか?

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古風なレンガ積みのランプ小屋も残されています。

乗車ログ:◆急行4号

糸魚川駅16時40発の急行4号は、先の急行1・2・3号と随分雰囲気が違います。

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薄暮をゆく急行列車です。

最高時速110kmで40kmを28分で走破する、と放送がありました。なんと表定時速にして85km/h。先の便であった「急いで行かない列車」の下りもなく、こちらはガチでの走りを楽しむ趣向となっているようです。せっかくなので、モーター付きの413系に乗車して走行音を味わいましょう。

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外の景色が期待できないからか、そこまで乗ってる人も多くなく。

冬のこの時間はもう日没で、どんよりと曇った空はどんどん暗くなります。デッドセクションでの消灯もはっきりと車内が暗くなり、非常灯だけが車内を照らします。

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ちゃんと「車内の電気、消えてるな…」ってわかります。

駅も高速で通過。途中停車駅はありません。

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たぶん浦本駅

外はとっぷり暮れました。ひたすら走行音に浸ります。

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モーター音がトンネル内に反響して全身に響いてきます。

そういえば、切符拝見と物販は来ましたが、神社は来ませんでした。3号でもうちょっとお賽銭しとけばよかった!

 

直江津に到着。1番線です。

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物販カートも下車。

1番線なら駅の外からもよく見えるので…ちょっと写真を撮りに。このあと発車シーンがみたいな、と、しばらく粘りましたが、18時まで特に動きはありませんでした。タイムアップ。

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特急しらゆきと。国鉄風駅名カンバンとの組み合わせ、やっぱり絵になります。

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日が暮れると、雰囲気は夜行急行… ツアーで、本当に夜通し走る日もあるみたいです。

 

直江津8時43分発→直江津17時8分着、と、結局一日乗り回してしまいました。トキ鉄線内をくまなく走り回り、途中長時間停車もあったり、最後にはガチの高速走行…と、ぜんぜん飽きの来ない楽しい旅でした。

 

むすび

いまのところ、検査期限の切れる2023年の春までは走る…らしいです。経済効果によってはもう少し伸びるかも、らしいですが。

走るのが確実なのはあと1年間、沿線での撮影もしてみたいし、もう一度くらいは行かねば。

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またお参りに行きます。